川崎市で初となる国有地を使った保育所整備が宮前区野川で決まった。30年の時限付きで国から土地を借りて設置する。厳しい財政の中、待機児童解消に向け保育受入枠を増やしたい川崎市。土地購入に比べて初期投資が抑制できる等のメリットがあるという。
保育所が新設されるのは区内野川1483─1。敷地面積は936・43平方メートルあり、定員60名の保育所を建てるという。開所は平成25年4月を予定。
貸付料は現在未定。不動産鑑定士による地価の算出を基に決めていくが一度に大きな予算がかかる土地購入よりも初期投資が抑制でき、単年度当たりの負担も低く済む計算になる。
国有地の貸付は財務省の「新成長戦略の国有財産有効活用」の一環。今までは売却が優先されてきた未利用国有地だが、今後、時限付で貸付できる定期借地権を使い、地方公共団体等に有効利用してもらうという。
しかし課題もあるようだ。保育所整備に適当な国有地は常にあるわけではなく、いつ見つかるのかも予想がつかない。そのため国有地を管理する財務省(関東横浜財務事務所)からの案内待ちで、計画的な配置となると難しい様子。今回の川崎市の例は税として納められた土地が地域の待機児童の状況、広さなど条件が合ったため結果的に活用できた形だ。
関東横浜財務事務所はこのことに関して「地方自治体との連絡会議やホームページ上で、未利用国有地などの情報を積極的に提供していく」とし、使い勝手の向上を目指す。市も「国と情報交換を密にしながら進めていきたい」と話した。
川崎市は保育受入枠の拡大や多様な保育サービスの充実を目指し平成14年に保育基本計画を定める等、保育行政に力を入れている。しかし、近年の人口増、共働き世帯の増加などで待機児童の解消には至らず、19年からは5年間で保育受入枠2600人を確保する緊急計画を進めた。だが今年4月も待機児童が1000人を超えることから23年から27年度までの新たな保育基本計画を3月までに策定する。同基本計画ではこの国有地利用の他、県有地、民有地の活用、鉄道事業者や民間事業者による保育所の整備で4000人の保育受入枠をつくる予定。
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