高津区版 掲載号:2017年8月25日号

連載第一〇〇九回

高津物語

「帝京大学溝口病院」

 「帝京大学溝口病院」が、田園都市線高津駅前に移転してから、三カ月になる。

 東急ストア―高津店横の入り口を進むと、素敵なエントランス・ルームが現れ多くの人々がソファーにゆっくり座っていて、一見ホテルに来たかと、見間違う程である。

 エスカレーターで二階に上がると総合受付があり、受付を済ませると小型レシーバーを渡され全ての連絡はそこに入る仕組みになっている。病院内の何処にいても、順番のブザーが鳴るシステムになっている。

 だが従来の癖で、受診する先生の前の、診察順番を示すボードを見る癖があって与えられたブザーは、役立たない、私の中にあった。

 外を見ると、田園都市線が走行しているのが見えたり、こんなきれいな病院のベッドで、寝ていたら気持ちが良いだろうな等と、昔の事を考えていた。

 その昔、今の東急ストア高津店の場所には、玉川電車の「高津駅」の下りホームがあった。

 垣根を挟んだ広い土地には、三信製綿工場があり、布団の綿の打ち直しや精製の不始末があって、大火事を出して、それが原因で閉鎖してしまった。

 それを見て、現在の洗足学園音楽大学の前身・国策会社「日本光学川崎工場」が進出してきて、高津工場として、操業を開始する。

 こんな訳で高津周辺も、溝口駅に劣らず軍事化が進み北見方日本通信工業や、同じく八洲化学、岡本鉄工所、池貝鉄工所、高津製紙、滝川製紙等々に加え、平賀英治殆ど一人で作った二カ領用水沿いに、大中企業の社員寮が、次々にできた。

 長閑だった「玉川電車」も、戦争が激しくなるにつれて自他ともに変わらざるを得なくなり、大井町にある日本光学本社工場と川崎工場を結ぶ為、多摩川に架かる「二子橋」を補強、玉川電車に代って大井町線を溝の口駅まで延伸させた。

 かくて日本光学は、大井町線を、本社工場と川崎工場を繋ぐ自社専用車線として私有化し、社員の往き来を頻繁にして、一層の生産性向上を図った。

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