♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
今回はウィーン留学中に訪れた収容所での思い出をお話したいと思います。
第二次世界大戦でナチスドイツが建てた多くの強制収容所のうち、オーストリアの「マウトハウゼン強制収容所」と、チェコの「テレジン強制収容所」を訪れました。共に門を入ると重く暗い雰囲気が印象的で、かつてこの場所で何十万という命が奪われたと思えない静寂な空気がまた不気味さを増していました。
収容所内には拷問室、ガス室などもそのまま現存し、集団で寝る3段ベッドなどはただ板を組み合わせただけの簡易的な作りで、ヨーロッパの厳しい冬をどんな思いで過ごしたのかと思うと大変胸が痛みました。収容所内の資料館には骨と皮の状態まで痩せ細った身体で絶望感に満ちた目でレンズを見ている人の写真が展示してありました。
こうした強制収容所には多くの優秀な音楽家も収容され、楽器を奪われ、尊い命も奪われました。ピアノがあり、ピアノを弾くという当たり前の事がいかに幸せなことなのかを収容所を訪れてみてしみじみ思いました。
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