鎌倉市は、JR北鎌倉駅沿いのトンネルの通行を4月28日から禁止した。専門家の調査で「岩の剥落などによる危険性」を指摘されたことを受けたもの。同トンネルをめぐっては「崩壊の可能性がある」として市が開削による安全対策を検討する一方、史跡や景観保護の観点から保存を求める市民の運動も活発になっている。市民団体の関係者は今回の決定に「開削に誘導するためのものだ」と反発している。
同トンネルでは今年3月、建設技術に関する調査・研究を行っている県の外郭団体、神奈川県都市整備技術センターの専門家による目視調査が行われた。
3月31日には同センターから結果が報告され、「岩の剥落などにより利用者に影響が及ぶ可能性が高く、緊急に対策を講じる必要がある」との診断が出されたという。
これを受けて市は4月23日、28日以降の通行禁止を発表。翌24日にはトンネル両側に通行禁止を知らせる看板を設置したほか、近隣世帯へのポスティング、ホームページやツイッターでも情報発信を行った。
期間については「安全が確保されるまで」として、無期限となっている。
学生用の迂回路も
地域住民の生活道路としてだけでなく近隣の小学校、高校などに通う子どもたちが毎日数百人単位で利用している同トンネル。
そのため市は、大船高校や小坂小学校、北鎌倉幼稚園などの園児・児童・生徒が利用できる迂回路を、円覚寺の協力により同寺境内などに設定した。
また電車を利用する生徒らのため、トンネルの外側に臨時の改札口を設置できないか、JRと協議していくとしている。
一般の通行者については、県道横浜鎌倉線の利用を促していくという。
「市民の声無視」
史跡としての価値や景観保護の観点から、同トンネルの保存を求める活動を展開している「北鎌倉緑の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会)」は4月24日、トンネル上部の樹木・樹根の手入れや落石防止対策、表面のケアなど「緊急安全対策」の実施を求める陳情を市議会に提出した。
同会の出口茂代表は「まず通行止めありきではなく、適切な手入れをしながら、恒久的な保全について検討するべき」とする。
通行禁止により、同会が連休明けに予定していたトンネルの調査や公開測量も実施できなくなったという。出口代表は「具体的な安全対策を提示することなく通行禁止にすることは、保存を求める市民の声を無視するものだ。市は開削に誘導したいのでは」と話した。
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