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大磯・二宮・中井 人物風土記

公開日:2011.10.07

大磯で開催する「海のみえる森 芸術祭」のプロデューサーを務める彫刻家
斉藤 史門さん
 松田町寄在住 58歳

新たな芸術の可能性探る



 ○…大磯町東小磯に開設準備が進められている子どものホスピス「海のみえる森」で、芸術祭を10月22日(土)から28日(金)まで開く。9人の若手アーティストによる絵画、木彫、おもちゃ、映像などのモダンアート展や、大磯にゆかりのある洋画家三岸節子の作品「華」の特別公開、弦楽コンサートなどを催し、これらの総合プロデュースにあたる。



 ○…古民家を再利用する海のみえる森は、難病や重い障害と向き合う子どもと家族が大磯の自然にふれながら心と体を癒し、生きる力を育むための一時滞在・休息施設。若い芸術家たちには子どもホスピスについてレクチャーを受けてもらった。「いつもの作品とは異なる視点で創作してくれたのではと大いに期待している。建物の屋根裏を入った奥で映像を流すなど、見る人にとっても新鮮で面白い展示になると思う」と話す。自身は木のドームハウスを作る計画だ。「ドームの中で、カフェと蓄音機で聴く音楽も楽しめますよ」と遊び心をのぞかせる。



 ○…芸術祭は4月に開く予定だったが、東日本大震災の影響で延期に。昨秋、現代アートの祭典への出展と小学生を対象にしたワークショップで宮城県登米市を訪問した。3・11以降、同市のことはずっと気がかりで、「津波の被害がなかった登米は、被害が甚大だった沿岸部の後方支援拠点になっている」。被災地の復旧復興が進むなかで芸術家の役割とは何か。「美術館のようなかしこまった場所で気難しい展示をするよりも、空き家を活用した展覧会や作家の顔が見えるアートイベントなどで人々の暮らしに受け入れられる芸術の可能性を見出したい」と静かに語る。



 ○…高さ6m、重量2tにも及ぶ彫刻から住宅の門扉や表札まで手掛ける鉄彫刻家。秦野駅南口の「重力のない風景」など作品は全国にある。住まいとアトリエを構える寄(やどりき)より「こっちにいる方が多い」という大磯に4年前まで住んでいた。

 

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