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特別企画 「新型コロナウイルスとどう向き合うか」 感染が落ち着いた今こそ考えたいこと 青葉区医師会特別インタビュー
ワクチン接種が進み、感染状況も落ち着いてきた新型コロナウイルス。3密を避け、マスクを手放せない生活が続くが、私たちはどのようにこの新しい感染症と向き合っていけばいいのか。第6波の感染拡大が不安視される中、デマに惑わされず、正しい知識を持つことが必要だ。今回は青葉区医師会の山本俊夫会長ら新型コロナ対応に取り組んでいる3人に集まってもらい、話を聞いた。 (聞き手/本紙・佐藤信彦)
新型コロナとは
どんな症状ですか?
「発熱や呼吸器症状、頭痛、筋肉痛、嘔吐、下痢のほか、嗅覚や味覚の異常を訴えるケースが多いです。ワクチン未接種の場合でも約80%が軽症のまま回復しますが、約20%は呼吸困難など肺炎症状がひどくなり、うち5%は人工呼吸管理や集中治療室での処置が必要になります。致死率は2%から3%で、特に高齢者や持病(基礎疾患)のある人の致死率が高い傾向です。決して普通の風邪やインフルエンザ程度ではありません。また、咳や倦怠感、嗅覚・味覚障害などの後遺症も報告されています」
そのほかの特徴は?
「新型コロナは感染後、平均5日前後で発症しますが、潜伏期間は最長で14日に及びます。また、感染しても5割近くは症状自体現れません。従って潜伏期間や無症状という、自分では自覚できない時期にウイルスを拡散している場合もあるのが、厄介な特徴です」
注意すべきウイルスなのは分かりました。私たちがすべきことは?
「基本的には3密(密集・密接・密閉)を避けること。手洗い(消毒)、うがいをしっかり行うこと。免疫力を高める健康的な生活を送ることが大事ですが、現時点ではワクチン接種が一番の予防法になります」
ワクチンの安全性
改めてワクチンについて教えてください。
「現在、接種が進んでいるファイザー製、モデルナ製はともに有効率は90%を超え、重症化予防や変異株にも効果があると発表されています。例えば、インフルエンザワクチンの有効率は30%から60%ですから高い数字と言えます。世界的に接種は進んでおり、米国疾病予防管理センターなど信頼すべき研究機関の調査結果では、深刻な副反応の危険は低いことも明らかになっています。日本国内でも接種率は7割を超え、実際に感染者数も急減しています」
副反応が心配です。
「軽微な副反応としては接種した部分の痛みと頭痛、発熱です。かなりの頻度で起こりますが、概ね1日から2日で軽快します。一方、深刻な副反応はアナフィラキシーショック(アレルギー反応)です。接種後に息苦しさや吐き気、立ち眩みなどが起こり、悪化すると血圧低下や意識障害が起こり、生命の危険もあります。米国でのデータ上は100万人あたり、ファイザー製で4・7人、モデルナ製2・5人という頻度で発生するようです。私たちは青葉スポーツセンター・青葉公会堂の集団接種会場で延べ約10万人に接種してきましたが、アナフィラキシーショックは1件だけでした。もし、症状が出たとしてもエピペン(アドレナリン)を投与すれば命には別状なく、まったく心配はいりません」
未接種の場合は?
「都合がつかない、漠然とした不安があるなどで見合わせてきた方もいらっしゃると思います。これまで接種を行ってきた立場としては、感染阻止と重症化防止の効果は明らかで、一時的な副反応のデメリットを上回るものと考えています。横浜市でも11月8日時点で2回目の接種を終えた人は278万3499人で、接種率は80%を超えました。これからでも積極的に接種を検討して頂ければと思います。ワクチン接種医療機関は市ホームページ(『横浜市 個別接種』で検索)で確認して頂くか、新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター【フリーダイヤル】0120・045・070でお尋ねください。青葉区役所1階区民ホールにも相談員が常駐しています」
子どもの接種
子どもの接種は?将来にわたり、安全性は?
「日本小児科学会は『12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は意義がある』と考え方を公表しています。ただし、副反応の出現頻度が比較的高いこと、10代・20代男性の2回目接種後、4日程度の間に心筋炎・心膜炎が発症する事例が多い傾向があります。心筋炎・心膜炎については新型コロナ罹患による発症の方が多いことも留意しておくと判断しやすいかもしれません。どちらにせよ、本人と養育者がメリットとデメリットを正しく理解することが大切です。まずはかかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。ちなみにワクチンが『長期的に遺伝子に影響を及ぼす』『不妊になる』『がんを誘発』などはすべて科学的に根拠はありません」
ブレイクスルー感染
ブレイクスルー感染について教えてください。
「2回のワクチン接種後でもウイルスに多く暴露する状況にあると、新型コロナに罹患してしまう『ブレイクスルー感染』が国内でも発生しています。しかし、ブレイクスルー感染による死亡例はまれで、重症者も多くありません。ワクチンの接種後、体内で作られた抗体は時間とともに減っていくことが分かっていますが、抗体が減る=効果がまったくなくなる、ということではなく、重症化の予防が図られていると言えます」
実際にかかったら
発熱した場合は?
「新型コロナは普通の風邪やインフルエンザと見分けがつかないことが多いです。発熱がある場合は、かかりつけ医に連絡の上、受診するのが一般的な流れになります=フローチャート参照。初診時に新型コロナの疑いがある場合はPCR検査を行います。現在はその場で検査できる診療所も増えてきました。結果通知まで数日かかりますので、その間は自宅で罹患を前提に感染拡大防止を意識して過ごしてください。ご家族含め、不安だと思いますが、かかりつけ医が電話で状況をお尋ねしたり、フォローします。また、一部の診療所では酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを貸し出しています。症状の悪化には早急に対応しますので、安心して過ごしてください」
感染確定の後は?
「陽性となった場合は青葉福祉保健センターから連絡があります。状況によっては日数がかかるケースもあります。同居家族の状況を踏まえながら『自宅療養』か、ホテルなどの『宿泊療養』かを決めて治療を開始します。なお、呼吸の困難があり、肺炎の兆候がある、酸素飽和度が96%未満など中等度以上の場合は入院措置となるケースが多いと思います」
自宅療養が不安です。
「自宅療養となった場合でも神奈川県からスマートフォンや電話を用いて健康状態を伺い、症状が悪化した場合は病院に搬送しますので、必要以上に恐れないでください。また、パルスオキシメーターが原則全員に届けられますので、状況把握をしながら外出せずに回復を待ってください。療養開始から4日程度後になりますが、必要な方には配食サービスも行います。家族内感染のリスクが高いことは間違いありませんので、インフルエンザと同様に隔離し、接触をなくして過ごすことが必要になります」
区民にメッセージを。
「昨年と異なり、新型コロナは未知の病気ではなく、適切に対応すれば過度に怖がる必要はありません。困った場合は青葉区医師会のかかりつけ医にご相談ください」
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