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青葉区 人物風土記

公開日:2025.09.18

10月に1周年を迎えるカフェ「めめ菓子工房」を経営する
伊藤 ホサナさん
青葉区在住 36歳

街の"日常"になる

 ○...「どうぞ、入って」。柔らかな笑みで、来訪者を招き入れる。ずっと夢だった自分の店をオープンして、もうすぐ1年。ショーケースには四季折々、自慢のお菓子が並ぶ。「10月には1周年記念のイベントもします。長く続けられるお店にしたいです」。表情から、指先から、希望と喜びがあふれる。

 ○...東京都で、聴者の両親のもとに生まれた。「ろう者として生まれた自分に、両親は『やらずに後悔するより、失敗してもいいから何事も挑戦すること』と、さまざまな体験をさせてくれた。『ろう者だからできない』と思ったことはなかった」と子ども時代を振り返る。大人になるにつれ、バイト先や菓子作り教室探しなど、困難にぶつかることも増えたが、諦めず結果につなげてきた。

 ○...菓子教室をやっていた母の影響で、子どもの頃から大好きになった菓子作り。自分の店を持つ夢を抱いたのは、カフェでアルバイトをしていた大学時代だ。大学卒業後、手話が公用語のカフェ「Social Cafe Sign with Me」に立上げから携わり、スイーツ開発、製造を担当。「福祉ではなく、ろう者が働けるカフェづくりという考えに共感した」。今でも、食材の仕入れ先や手伝い、ロゴ制作など、「全てろう者やコーダ(ろう者を親に持つ聴者)を中心に」を意識している。

 ○...ようやく実現した夢。家族のそばでやりたいと、夫と2人の子どもとともに2、3年前に移り住んだ青葉区でオープンした。初日には、近所の人からお祝いも。「温かくてやさしい街」と顔をほころばせる。「手話をエッセンスに」と謳う店は、当初は手話を押し出すつもりはなかった。「私にとっては、手話も他のろう文化も当たり前にあるもの。その感覚を大事に、日常に溶け込む存在になれたら」

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