戻る

緑区 社会

公開日:2022.12.15

被害者体験談
「犯人は言葉巧みだった」
息子と信じATMで入金

  • 自身の体験を語る女性

 区内在住の80代女性宅に今から5年ほど前のある日、1本の電話がかかってきた――。

 受話器を取ると、男は医師として病院勤務をする次男を名乗った。声がかすれていたため「どうしたの」と尋ねると、男は「風邪をひいた。携帯電話の番号を変えた」と答えた。その上で「手術で迷惑をかけた人に心づけを渡したい。午前中に金を振り込みたいが今は忙しい。代わりに振り込んでくれないか」と持ち掛けてきたという。

 女性は疑問に感じたが、次男は普段仕事が忙しく数カ月声を聞いていなかったこともあり、突然の電話に嬉しさも感じたという。

 一度電話を切り、しばらくすると二度目の電話がかかってきた。その電話で男に金額を訪ねると、160万円を要求してきた。高額だったこともあり夫に相談する旨を伝えたが「今夜家に行って直接説明するから今は言わないでくれ」と言われたという。その後女性は、指定された振込先のメモと通帳を手にして玄関先に向かった。そこで夫と鉢合わせとなったため手短に男からの電話の内容を伝えた。夫は「それ、オレオレ詐欺なんじゃないの?」と指摘したが、女性は「子どもを信じましょうよ」と話し、近くの銀行のATMで入金をしたという。

 その後、男に「入金が終わったら連絡がほしい」と言われていたため電話をかけようとした女性は、指示とは違い誤って携帯電話に登録されている息子の電話にかけた。息子は電話に出ない。「そういえば番号が変わったんだ」と男に電話をすると「ありがとう」の一言で電話は切れたという。

 夕方になり息子から改めてお礼の電話が入らないことを不審に思った女性は、午後8時頃になり息子本人の番号に電話をかけ「今日160万円振り込んだけど、大変だったね」と話したことでオレオレ詐欺被害に遭ったことに気が付いた。

敬老会で寸劇見るも

 女性は被害に遭う数カ月前、地域の敬老会でオレオレ詐欺の寸劇を見たばかりだった。被害に遭った日の夜、女性はなかなか寝付けなかったが、夫から「もう終わったことだから仕方ないよ」と掛けられた一言に救われたという。

 女性は「今考えれば私がバカだった。犯人は言葉巧みに電話口で話をしてきた。友人も高額の被害に遭ったが、夫や息子から責められ鬱になった。息子からの電話でも『お金の話』が出たら疑うことや、ATMに行く前に家族に相談することが被害に遭わないために必要だと思う。同じような思いをしてほしくない」と語った。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

緑区 ローカルニュースの新着記事

緑区 ローカルニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS