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港北区 人物風土記

公開日:2016.06.02

女性史の著書執筆をしている研究家で、ノンフィクションライターとして活動する
江刺 昭子さん
日吉本町在住 74歳

一生かけて女性史を

 ○…「女性の地位を向上させるべく、その後押しをできる限りしたい」。女性史研究家として執筆を中心に活動を続けている。共著を含めるとこれまでに20冊を超える本を世に送り出しており、女性史の普及に貢献したことを称えられて神奈川文化賞も受賞。代表を務める「史の会」では、神奈川県在住の主婦と一緒に女性史研究を行っている。

 ○…早稲田大学に進学し、卒業後は出版社で女性誌の編集に携わっていた。女性史研究に目覚めたのは、フリーランスに転身した後。70年代に起こったウーマンリブ運動がきっかけとなった。女性の就職口の少ないことや家事を全て行っていることを疑問視していたため、「自分が感じていることは女性皆の問題だ」と気付かされたという。さらにその根本として、大学時代の下宿先の家主で同郷の原爆文学作家、大田洋子氏が心に留まっていた。「作家として正当な評価をされなかった大田さんの無念を晴らしたい」という思いや「女性作家が注目されにくい世の中」という違和感も自身に影響を与えていると分析する。 

 ○…岡山生まれの広島育ち。幼少期から読書が好きで、家にあった本や新聞を読んでいたという。日吉本町に移住して3年。住んでいる地域の歴史を知るのも好きで、最近は近所の老舗米屋で昔の日吉について聞いている。「どうしてそんなに頑張れるのと周囲の人から言われるくらい、やりだすと熱中しやすいです」と笑う。仕事に対しても貪欲で、いつまでも執筆ができるようにと苦手な運動も積極的に取り組み、健康づくりをしているという。

 ○…働く女性が増えた現在、若い世代で女性史に関心を持つ人は非常に少ないと嘆く。「今後、さらに活躍してもらうためにも、女性史を後世に伝えなければならない」。凛とした表情でこれからの課題を見据える。「一生現役でいたい」という志を掲げ、これからも走り続けていく。

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