港北区 スポーツ
公開日:2026.01.01
午年特別取材
慶應義塾體育會(たいいくかい)馬術部
車が行き交う綱島街道から一本道を入ると、閑静な住宅街に「馬場」が現れる。
2026年の干支は「午(うま)」。創部105年を誇る「慶應義塾体育会馬術部」を取材した。
第二の「馬生」をともに
現在、慶應義塾大学日吉キャンパスの厩舎には19頭の馬たちが暮らすが、その半数近くが元競走馬。「成績が残せず処分される馬もいる中、ここは受け皿にもなっている」と主将の三宅煕一朗さん(4年)。
だが、転向は容易ではない。「速く走る」ことを教え込まれた競走馬に対し、馬術はペース配分など真逆の技術が求められる。「走る本能」をリセットし、新たな合図を教える「再教育(リスキリング)」には、学生たちの根気強い愛情が不可欠だ。
言葉なき相棒との対話
「馬は繊細」。そう語る永田瑞貴さん(1年)の相棒は、18歳の「エポレット号」。かつては「タニノエポレット」の名でG1レースにも出走した実力馬だ。
今夏、脚を痛め歩行困難になったが、永田さんは献身的にリハビリに寄り添い、世話を通じて「大丈夫」と伝え続けた。「一から関係を作り直しました。彼は経験豊富な『先生』」。秋には競技会へ復帰。苦難を乗り越え、絆はより深まった。今では「彼に育てられている」と全幅の信頼を寄せる。
朝4時からの日々
活動は学生主体。生き物相手に休みはなく、朝4時から馬房の掃除や餌やりが始まる。年末年始も交代で泊まり込むこともあるといい、学生自らの手で愛馬を守り抜く。
ふとした瞬間、馬たちの過去が顔を覗かせる。「東京競馬場に行くと、場所を覚えていて興奮しちゃう子もいる」と三宅さん。それでも学生が首を撫でれば、馬は落ち着きを取り戻す。そこにあるのは、苦楽を共にする「家族」としての信頼だ。その温もりが、冷え込む冬の朝も学生の背中を押す。
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