「ごはんやひとみ」の店主を務める 上野 ひとみさん 東山田在住 47歳
「母の味」を目指して
○…「料理研究家ではなく、料理人なんです」。柔らかな表情でそう語る『ごはんやひとみ』の店主。”ごはんや”といっても店舗自体は存在しない。要請があれば出張し、料理教室や自身の食堂などを開く。「料理が美味しいと言ってもらうのはすごく嬉しい。でもおもてなしの心がなくては満足できない。いつも心を込めて作るよう意識しています」と想いを語る。今春は都筑で採れた野菜を使った「つづき・ひとの『わ』ランチ」や、国分寺のギャラリーとのコラボ企画「くるみ食堂」を1日限定でオープン。5月24日、25日にハウスクエア横浜住宅展示場で開かれる「おうちカフェ」の主宰者の一人として名を連ねる。
○…京都生まれ。母親の作ってくれたごはんが忘れられず、今でも舌に記憶が残っている。意外にも料理は結婚するまでほとんどしたことがなかったという。結婚後、子供が生まれ、妻として母として料理のことを考えるように。子どもが小学生の時はPTA会長も務めた。精力的になんでもこなしていたが、近年になって両親が他界。ショックから無気力状態が続いた。そんな中、東日本大震災が起きた。テレビで衝撃的な映像を目の当たりにして「くよくよしてはいけない。自分ができることをやろう」と一念発起し、食を通した支援活動などにも力を注いだ。作る料理は「大好きだった母の存在が実感できる」ような味を自然と求めるようになった。
○…料理と同じくらい文章を書くことが好きで、約10年間「むいむいタイムス」というミニコミ誌を発行していた。現在は5人家族で3人の子供と暮らす。母親の先輩として隔月で妊婦向けの料理教室も開く。多忙な日々だが、「ジャズのコンサートに行ったり、カフェに行ったり。ひとりの時間を大切にしています」とも。「やりたいことをやる」という自由奔放さが店舗を持たない”店主”という発想を生んだのだろう。
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