ネットカフェがテレワークの場として重宝されているようだ。ひと昔前はサラリーマン、営業マンのサボり場として見られる傾向もあったが、今や本格的な仕事の場、商談の場として利用している人が増えているという。都筑区に本社を構えるネットカフェの大手「快活CLUB」では鍵付き個室の利用が好調だ。その現場を見てみた。
4月13日の昼過ぎ、快活CLUB北山田店にはジャケット姿の人や大きなビジネスバッグを手にした人が次々と訪れ、スマホを手に慣れた手つきで手続きを済ませては個室に向かって行く。鍵付き個室のある一画はホテルのような佇まい。各部屋は1畳ほどの広さでイス席の部屋や横になることもできるフラットな部屋もある。一定程度の防音性があるため、オンラインでの会議や商談も周りを気にせず利用できるのが特徴だ。
イス席が人気
北山田店は193席のうち27席が鍵付き個室。日中は満室状態になることも多く、特に「スーツにしわをつけたくないから」という理由でイス席の部屋が人気を集めているという。
快活CLUBは、紳士服店AOKIを展開するAOKIホールディングスの子会社「(株)快活フロンティア」が運営する。鍵付き個室の展開は2017年12月に静岡県沼津市の店舗が第1号店。18年4月にはオフィスが集積する新横浜に鍵付き個室に特化した店舗を出店した。19年には全国で85店舗を開設し、現在は全国に315店舗、8673室の鍵付き個室を展開している。
風営法上、鍵付き個室では飲食のサービスを提供できないが、快活CLUBでは利用者による飲食物の持ち込みを可としている。また店内に設けられた専用スペースを利用すれば、店舗による飲食のサービスを受けることが出来る。
余暇利用者が仕事に
同社ではテレワークの場としての利用を大々的に宣伝や広報活動は行っていないが、同社の中川和幸常務取締役によると、「余暇でご利用していたお客様が仕事でも使えると判断していただき、広がったのではないか」と分析。近年のテレワークの普及に加え、コロナ禍によってさらに需要が拡大したという。
レシート選択サービス
一方、「ネットカフェでテレワーク」のスタイルが企業側に認知されていないため、「快活CLUB名義のレシートだと会社に経費の申請ができない」という声も。
そこで昨年12月、グループ会社のシェアオフィス専門「AOKI WORK SPACE」の名義に変更できるレシート選択制サービスを開始した。
中川常務取締役は「ネットカフェを利用する人はまだまだ15%程度。残りの85%の人にどう参加してもらえるか、市場を広げていきたい。今後、仕事の仕様に最適化するかは判断が難しい。次の展開を考えていきたい」と話した。
ネットカフェのテレワーク市場について、リモートワークの普及に取り組む「一般社団法人リモートワーカー協会」の中川祥太理事は「自宅の環境によってテレワークしづらい方がいるのも事実。セキュリティへの懸念から外で仕事ができる場所も限られ、その点で鍵付き個室はPC画面の覗き込みなどによる情報漏洩のリスクもなく、周りの音も入らないのでオンライン会議もスムーズにできる。セキュリティ面の安心という点からも今後の需要が見込める」と話している。
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