神奈川県立希望ケ丘高校(宮地淳校長)が、文部科学省が実施する事業「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」として、今年度から2022年度まで5年間の指定を受けた。学校設定教科を取り入れた新たなカリキュラムのもと、ICT(情報通信技術)を活用した教育に取り組んでいく。
SSHは文科省が02年から実施する事業で、将来の国際的な科学技術人材の育成を目指し、先進的な理数系教育を行う高等学校を支援するもの。
同事業は指定期間5年間の「基礎枠」と、最長3年間の「科学技術人材育成重点枠」の2つに分けられている。今年度は基礎枠で全国94校から実施希望があった中、49校が内定を受けた。
課題解決できる人材育成を
同校がSSHの申請を行うのは初めて。県教育委員会が指定する「学力向上進学重点校」と「理数教育推進校」でもある同校だが、「社会人になるにあたっては、課題に対する論理的思考能力が求められる。これまでの授業に加え、SSH指定で新しいことにチャレンジしていく必要がある」と宮地校長は意気込む。
SSH指定で同校が目指す生徒像は、「新たな価値の創造と科学的技術及び社会の発展に貢献できる人材」と「情報の科学的な整理・分析方法を身に付け、課題を見出し設定して解決できる人材」の2点。
そのため、理科と情報教育などを融合した学校設定教科を取り入れ、課題研究を中心とした、体系的な学びの研究開発に取り組むことを決めた。
申請に向け、昨年度から半年間かけて準備。新しい環境に備えるにあたり教諭のスキル向上も必要になるため、業務体制も大幅な組織再編を行ったという。昨年12月には基礎枠で実施希望調書を提出し、今年初旬に文科省によるヒアリング調査を宮地校長が受けた。外部有識者らによる審査の結果、新たな取り組み内容などが評価され、3月下旬、新規性のあるカリキュラムなどの研究開発を行う「開発型」として、15校(公立12校、私立3校)中の1校に採択された。
SSHの指定は申請数が多く倍率も高いことから、「1度目の申請での採択は快挙と言わざるを得ない」と宮地校長は胸を張る。
学校設定教科で外部とも連携
SSHの主軸として、同校が今年度から通常のカリキュラムに加えて取り組むのが、学校設定教科の「SS希望」。全生徒がグループを組んで課題研究に取り組み、3年間かけて「課題設定力」「情報活用能力」「言語能力」「論理的思考能力」「協働による課題解決能力」の5つの能力育成を目指す。
授業には、外部資源も活用。大学や企業、研究機関などから講師を招き、校外授業やセミナーも実施するほか、ビッグデータの解析などにも挑戦していくという。
同教科の取り組みツールにはICTを活用する。まずは教室内にWi-Fi環境を整備。同校は日本マイクロソフト(株)のステップモデル校でもあることから、端末の貸与や、教諭のスキル向上でも同社の協力を得ていく。
また、放課後、部活動などで多忙な生徒も多いため、クラウド上で互いに情報共有ができるような仕組みづくりにも今後取り組んでいくという。
宮地校長は「これからの時代は証拠に基づいた説明が求められる」とし、「論理的に説明できるように、国語力や表現力の学びにも力を入れていきたい。横浜というグローバルな土地で、次世代に活躍する人材を育成できたら」と話している。
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