泉区内で障害者の働く地域作業所や就労支援施設などを運営する特定非営利活動法人「四季の会」(中田東)がこのほど、紙管を使ったボールペン「横浜紙ペン」の取り扱いを開始した。ペンは色の変更やロゴを入れることができ、横浜市など行政や民間企業からの受注をめざす。
担当者で同法人理事の平井洋一さんは「適正価格で受注することで、障害者が得る工賃が増え、運営する法人の財務状況も改善していきたい」と思いを語る。
工賃を少しでも
「給料日に、障害がある若者に『何に使うの?』と聞いたら、親にケーキを買ってあげるって。でもその人が月にもらうお金は350円だというんです」――。平井さんが障害者施設を訪れた時の出来事だという。さまざまな施設でボールペンの組立作業という仕事はあるが、「1本あたりたとえば80銭だったりする。身体障害がある人などはなかなか速くは作れない。そうするとそんな賃金になってしまう」と平井さんは話す。
その背景には、「単価が安くても、受ける仕事があるだけまだいい方」という障害者作業所の現実もあるという。「国や市の補助金などだけに頼らざるをえないのが現状。施設として利益をあげていくことができれば、状況を変えられるのでは」と平井さん。
そこで、ボールペンに付加価値をつけることでより利益が生み出せないかと辿りついたのが「横浜紙ペン」だった。国産再生紙を80%以上紙管に利用し、プラスチックの使用を抑えた紙ペンを製造するジャパン・プラス(株)(本社・東京都北区)の協力を得て、同社が製造した部品を作業所で組み立て、商品として販売する仕組みができた。
価格競争でなく
平井さんは自身が社長を務める(株)湘南ワイパーサプライ(上飯田町)でこれまでに横浜市に商品を納品してきた実績がある。また同社は地域作業所に仕事を依頼してきたが、「入札となると価格競争になり、障害者施設への依頼を辞めて中国などで生産せざるをえない」。そこで着目したのが、「障害者優先調達推進法」という。
同法は国や市で必要な物品などの調達に関し、障害者就労施設などからの優先的な調達を推進するもの。障害者の自立を目的としたもので、「市がその活用に積極的になってくれれば、作業受注にもつながる」と平井さんは指摘する。
すでに市の選挙管理委員会から今年の統一地方選挙の啓発物品として、横浜紙ペン1000セット(2本入り)の受注も実現した。今後について平井さんは「一作業所では生産能力に限度がある。法人や作業所の枠組みを越えて協力し合う輪を広げたい」と展望を語った。
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