株式会社湘南ワイパーサプライ
産業用品も持続可能な物へ
平井洋一代表取締役

新製品の革手袋を手にする平井社長
LWGレザーの革手袋

国内初の工業用革手袋

　上飯田町の（株）湘南ワイパーサプライは工業、医療、建築、農産業など、幅広いシーンで必要とされる手袋やウエス（布）の販売や商品開発を続けている。

　同社はこのほど、工場などで使用される「革手袋」の新製品を発表し、今年から本格的に販売を開始するという。画期的なのは海外の製造実態にも目を向けた点だ。同社の平井洋一社長は「これまではいかに安くできるかのみが注目されてきた。持続可能な社会のためにはそれではいけない」と警鐘を鳴らす。

深刻な水質汚濁

　革製品は一般に、製造過程で多くの薬品や水を使用する。途上国ではコスト最優先の結果、水処理がずさんなことも少なくなく、水質汚濁が環境問題となっている。また劇薬を素手で扱うことも日常的で、健康被害も深刻という。しかも労働者の多くは若者や子どもという実態もある。

　平井社長は「以前は中国に工場があったけど、規制が厳しくなってインドやバングラデシュへ。さらにエチオピアへと移っている。こんなことを続けていては、まったく持続可能じゃない」と思いを語る。そんな中で平井社長が出会ったのがインドのＬＷＧ認証工場だった。

ＬＷＧ認証工場へ

　ＬＷＧは環境に配慮した国際的な認証で、バッグや靴といった海外有名ブランド品はこれらの工場に生産を移している。だが、産業界にはまだ一般的でないという。

　「工場で大量に使う革手袋だからこそ変えていくことが必要。コストの課題はまだあるが、多くの企業が選択してくれたら、よりよい社会になるはず」と平井社長。製品の耐久性にもこだわり、「安い製品は使い捨て。単価は上がっても、少しでも強度をつければゴミも減る」と指摘する。

　目の前ではない、遠い外国での環境問題、健康被害にも思いを――。ＳＤＧｓがうたわれる今、泉区から世界を変える一歩が踏み出されている。