横浜市はこのほど、野毛山動物園・公園および中央図書館のリニューアルと、障害児者支援拠点を新設する「のげやまインクルーシブ構想」を発表した。２０２４年度中に先行整備が完了する計画だ。

よりアクセスしやすく

　市は「誰もが学び、楽しみ、交流し、理解しあえるインクルーシブなまちづくりの展開」をコンセプトに、動物園、中央図書館、障害者支援拠点が連携することで、障害の有無や世代を超えて楽しめるエリアに生まれ変わるとしている。

　野毛山地区は教育、体験施設が集まり、長く市民に愛されてきたが、坂や階段が多く、車いすやベビーカーでの利用の困難さや施設の老朽化が課題となっていた。今回の改修でバリアフリー化を図り、誰もが訪れやすく、利用しやすい環境づくりを進める。

　また最寄りの桜木町駅、日ノ出町駅周辺からのアクセス環境を良くし、臨海部との回遊性向上、横浜全体の魅力向上につなげていくという。

　24年度予算案には「野毛山動物園等の改修」として３億３５００万円を計上。ふれあいコーナーの屋根の設置と屋内休憩棟の整備が完了する予定。天候に左右されずに動物と触れ合ったり、観察の間に親子で快適に休憩できるようになる。

　中央図書館は１階を「のげやま子ども図書館」に改修。24年度中に現在のレストランフロアを改修し「安心・楽しい親子フロア」を整備。寝転がったり床に座って読み聞かせができるなど、長時間滞在でき、親子連れや子どもにとって居心地が良く、楽しく学べる環境づくりを目指す。

　障害者支援拠点は、図書館の並びにある旧青少年交流センター跡地に28年度までに整備。横浜市多機能型拠点として、医療的ケアが必要な重症心身障害児者と家族の暮らしを包括的に支援する。

　いずれは動物園や図書館による障害児者支援拠点への出張体験イベントや重症心身障害者が外出余暇活動ができるような環境整備を進める。

体験通し生態学ぶ

　野毛山動物園に新設される「ズーペリエンタ！センター」は、岩場などの動物の生活環境を模した空間や遊具が整備された屋内施設。遊びながら人と動物の身体的な構造や生態の違い、共通点が体感できる。28年度中に整備完了予定。動物と触れ合えるエリアの充実やレストランの改修なども順次進め、入園料は無料を継続するという。