訓練の有無で明暗 3.11の企業初動対応
大震災への備えは、家庭のみならず従業員を抱える企業にも求められる。東日本大震災発生時における、企業の初動対応について、トーマツ企業リスク研究所の調査結果(2011年6月発表、BCPアンケート結果概要/回答100社)を参照し、課題を探りたい。
まず、災害時の初動対応について、回答社の7割超は体制や規程・マニュアルを準備していた。しかし、そのうち、体制は決めていたが召集責任者など詳しい手続きを定めていなかった企業では、直後に体制を組めなかった事業所が半数以上に上った(例:対策本部長が出張中で代理者は未規定だった)。同研究所では「発災から通信途絶までの時間も踏まえると、体制確立のタイミングにより、後の対応に大きな差が出る。重要人物の不在に備えて代理者を任命し、代理者に役割を移す手続きも定めるなど、柔軟なルール作りが必要」と解説する。
また、備蓄品については、首都圏の事業所で「想定以上の帰宅困難者が出て不足した」「消費期限が切れていた」「配布方法で混乱が生じた」ケースがみられた。
一方、体制や規程・マニュアルの準備に加えて訓練もしていた回答社は全体の約4割。その多くが「訓練が功を奏した」としている。
なお、大震災以降、初動対応などの見直しを検討中の企業は、全体の8割以上。「停電の長期化を想定」「備蓄量・通信手段の見直し」「指揮命令系統の再整備」などを挙げている。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>