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戸塚区・泉区

公開日:2012.07.05

舞台のウラで
背中押した子どもの言葉
ベンチプレス世界銀の高橋さん

  • 銀メダルを首に下げる遼君とじゃれる高橋さん

  • 世界大会で95kgの重りを上げる高橋さん(所属ジム提供)

 「早く早く」「ハンガーいるよ」。6月30日土曜日の朝。戸塚町の丘の上に建つマンションの一室には、やわらかな空気が流れていた。そこには、仲良く洗濯物を干す親子の姿があった。



 高橋美和子さん(38)は、5月にチェコ共和国で開催された世界ベンチプレス選手権大会の一般女子47kg級に出場し、銀メダルに輝いた。身長162cm、体重45kgのスラリとした体型からは想像しづらいが、練習では100kgの重りを上げる。同大会では大会自己ベストと並ぶ95kgをマークした。



 実は、世界大会には出場できないと思っていた。大会期間中の25日は、一人息子の遼君(戸塚小5年)の誕生日。その翌日は同校の運動会だった。「自分の趣味のために、家族を犠牲にしてまでは行けない」。そう思っていたら、遼君が言った。「僕は大丈夫だよ。留守番してるから。メダルを取ってきてね」。背中を押された思いだった。



 健康のためにとベンチプレスを始めて3年。子育てと両立させながらこつこつと練習を重ね、着実に実力をつけた。昨年のアジア大会で金、今回で銀と世界で戦う選手にまで成長した。



 週に2回、府中市のジムで練習する時、遼君は一人で留守番をしている。高橋さんが帰宅するのは夜の8時ごろ。遼君は冷蔵庫に入った夕食を食べる。



 北海道出身の高橋さんは、夫の仕事のため、25歳の時から大阪府、愛知県と移り住み、7年前に戸塚区に引っ越して来た。近くに身内はいない。遼君が小さいころは、子育てが大変でストレスもたまった。今は、夫と子どもの理解、協力もあり、「毎日が楽しい」。ベンチプレスが、高橋さんの生活に彩りを添えている。



 お母さんがベンチプレス



するの好き?―。聞くと、遼君はこくりとうなずき、そばにいる母を見つめた。

 

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