戸塚区・泉区 社会
公開日:2025.09.11
「8050問題」 連載【3】
「誰にでも起こりうる」
市ひきこもり支援課 霧生課長
80歳代の親が、50歳代の子どもの生活を支える「8050問題」。背景には親の高齢化、子どもの長期間にわたるひきこもりがある。親亡きあと、子どもがどう生きていくのかなど課題は数多い。
内閣府が今年4月に公表した、全国で孤立死した人の推計値は2024年1年間で約2万人。60歳以上が約8割を占めたものの、50歳代も2740人いたという。この連載では、こうした問題の改善に取り組む団体・個人に、53歳の本紙記者がインタビューを行う。
40歳以上のひきこもり状態にある人やその家族などの不安や悩みを傾聴し、支援を行う横浜市健康福祉局ひきこもり支援課の霧生哲央課長に対応策を聞いた。
――ひきこもり支援課の設立時期と理由は。
「2022年4月に設立されました。背景として、17年度に市が行った実態調査で、これまで若年層(15〜39歳)の問題とされがちだったひきこもりが、中高年層にも1万2千人いると推計されたことがあります。それまで中高年を専門に受け入れる相談機関がなかったため、市として部署を設けました」
――中高年(40〜64歳)でひきこもりの人は、横浜市にどのくらいいると推計されていますか。
「22年度に行った市民生活実態調査では約2万人と推計されています」
――支援課が支援を始めてから3年間での相談件数は。
「延べで、22年度は471件、23年度は855件、24年度は1247件。電話の数でカウントしています」
――きっかけは。
「なかなか明快な答えは聞けませんが、学生時代の人付き合いのつまずきや、就職後の人間関係、パワハラなどがきっかけになることも。自己肯定感が低く、自信を持てずに過ごしてきたという人が多い印象です。就職氷河期という社会的な背景も考えられます」
――相談者はどのような人が多いですか。
「家族からよりも本人から直接電話がかかってくるケースが圧倒的に多い。また、一般的に男性のひきこもりのイメージが強いかもしれませんが、実際には女性からも非常に多いという特徴があります。また、中高年専門の相談窓口ができたことを知り、『ようやく電話をかける場所ができた』と連絡をくださる人もいます。両親が亡くなったり、介護が必要になったりと状況の変化が相談への契機になることがあり、本人が動き出すタイミングにもなり得ます」
「傾聴」が基本
――支援の内容は。
「本人が話したいことをすべて受け止める『傾聴』が基本。『伴走型』を心掛け、急ぎません。相談者の年齢で対応は異なりますし、就労だけがゴールとは限りません。本人のペースに合わせてボランティア活動などで社会と関わることから始めるなどを提案します」
――親が亡くなった後、残された子どもはどうなるのでしょうか。
「収入がなくなってしまう場合は、居住する区役所につなぎ、生活保護を利用しながら経済的な困りごとを一緒に解決していくことになります」
――地域や第三者ができることは。
「引きこもりは誰にでも起こりうるという認識を持ち、見守ってほしい。私たちもその啓蒙活動を続けていきます」
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