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金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2011.05.19

金沢区三師会と金沢区薬剤師会の会長を兼任する
小田 兵馬さん
泥亀町在住 65歳

原動力は胸のワクワク



 ○…金沢区の医師会・歯科医師会・薬剤師会から成る三師会の会長となって2期目を迎えた。チーム医療の重要性が増す中、より多面的な医療体制を深めてきた。だが、理想の地域医療は医療関係者だけでは築けないとも。「区民も一緒になって見守り、そして育てる気持ちを持って欲しい」と話す。



 ○…「薬剤師になりたいとは思っていなかった」と苦笑い。幼い頃に見たアメリカ映画「摩天楼」に心をつかまれた。「建築家の主人公が、斬新な発想で新しいものを作る姿に憧れた」と語る。だが、激動の時代に一代で薬屋を築いた父親が長男にかける期待は大きかった。息子が建築家を目指していることを知った父親は激怒し、「お前がいながら」と母親を本気で蹴飛ばした。反発心はあったが、母の立場もあり薬科大学に進み、そのまま薬剤師になった。



 ○…「胸のワクワクを大切にしたい」と話す。大学生の頃、友人と2人でマンネリになっていた合唱団を改革した。興味を引いたのは、倍音。ドとソの音を正確に発声すればミの音が出るはず。「ならば、そこから始めたい」。面白そうだと思ったら、止まらない。団員有志を募り合宿で、ひたすら練習をした。初めて倍音が出た時、皆がどよめいた。「ゾクゾクっと感じたんだよ」と嬉しそうに語る。卒業時には、260人もの学生が参加する大きな団体へと成長した。「面白いことをする人の周りには、自然と人は集まってくる」。その信念は変わらない。



 ○…今、胸を躍らせるものは何か。「新しい薬局作り。ワンダーランドのような楽しい店を作りたい」と話す。薬局は元気になる場所。薬だけでなく、店からも元気になってもらえる仕掛けを作りたいという。薬を売るのが薬局という固定概念を打ち壊す。「ワクワクしている街や人が素敵なんだ」と語る表情はまるで少年のよう。その若々しさは、常に胸を躍らせているからかもしれない。

 

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