11月4日に「野口英世in金沢」で歌を披露した 佐伯 葉子さん 能見台通在住 47歳
舞台はエキサイティング
○…「あなたは声が綺麗だから、歌をやってみたら」というピアノ教室の先生の一言が人生を変えた。手の小ささからピアニストへの夢を諦めかけていた高校2年生の頃。幼いころから親しんだクラシックとの付き合い方が変わった瞬間だった。以来声楽家として区内外のコンサートに出演。11月4日には金沢公会堂で歌声を響かせた。
○…東京芸術大学で中村浩子助教授(現名誉教授)に師事した。入学し、最初に中村さんの声を聴いて「一目惚れ」。ピアニストへの未練は完全に断ち切れた。「先生のお声を聴いて心を奪われたんです」。しかし最初は「蚊の鳴くような」小さな声。中村さんには「2、3カ月様子を見て、芽が出ないようだったら諦めて」と言われた。小さな体をいかに鳴らすかという努力が始まった。指導は技術にとどまらず生活態度にまで及んだ。「悪かった言葉づかいもすっかり直された。私にとって『歌のお母さん』のような人」とほほ笑む。
○…30歳でアルトパートからソプラノへ転身。「オーケストラをバックに歌いたい」という思いを叶えるためには高音域の歌唱は不可欠だった。しかしこの転身が長く苦しいスランプのきっかけとなる。高い声を出そうするうちに喉を壊した。「治してもまた壊す毎日が数年間。辛かった」と表情を曇らせる。打開策をフランス留学に求めた。声楽を学びなおし、徐々に高音域が出るように。フランスのコンクールで受賞もされるようになった。「この頃の試行錯誤は私の中で財産になっています」
○…「声が綺麗に出るのはあと10年だと気が付いた。おしりに火がついたんです」。今までは教える仕事の方が多かったが、最近はソロ活動を精力的に行っている。今年3月には念願のオーケストラをバックに、オペラへの出演も果たした。「舞台の上はとってもエキサイティングなの」。目を輝かせて語る表情には、一点の曇りもない。
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