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金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2015.01.08

1月13日に聖マリアンナ医科大学病院でボランティアコンサートを行うソプラノ歌手
雨宮 真知子さん
釜利谷南在住 66歳

声を楽器に「心に響け」

 ○…「人の声は、心に最も届く楽器」。歌声で病院患者を癒し10年目に入った。きっかけは入院中に立ち寄った院内のコンサート。続々と集まる姿に「この日を指折り数えて待っていたんだ」と感動した。「昔はよくコンサートに行ったの。ドレスも楽しみだった…」――普段着の歌い手にある患者がもらした。「もっと楽しんでほしい。コンサートをそのまま持ってこよう」。心が動いた。

 ○…父はプロのトランペット奏者。「オルガンをぷかぷか弾いても機嫌が悪くなるほど、音楽の道に進むことに反対だった」と笑う。父の思いとは裏腹に小学5年で、全校集会で歌う手本に抜擢。教師の推薦もありピアノを始め、高校で声楽専門に。音楽道を歩み始めた。大学卒業後「父に認めてほしい一心」で大手音楽事務所に所属した。「夜のヒットスタジオ」などの番組や有名歌手と歌う日々。クラシックとは畑の違う、ポップスなどの多ジャンルを一発本番で歌い上げる厳しさを味わった。「貴重な青春時代。経験や感情が今の音楽になっている」と話す。

 ○…ボランティアグループに所属し市内の病院を年数回まわる。目に優しい色のドレスを選び、選曲にもこだわる。「初舞台は忘れられない」と振り返る。集まったがん患者は呼びかけても表情一つ変えない。それが一曲、二曲と歌うたび柔らかな顔つきに変わっていた。最後にわっと泣いた男性が1人。医師が言った。「今まで感情を忘れていた人なんです」。生の歌声の力を知った瞬間だった。

 ○…1年半前には六浦地区センターで、初心者向けの教室「リラの会」を始めた。「顔が違うように声もみんな違う」。教えるのは声を出す喜びだ。「表情も洋服もみんなキラキラになった」と嬉しそうに微笑む。「歌はね、体が楽器なの」。体がある限りずっと歌い続けられる。70歳を前に「音楽に一心に情熱を注げる時かも。歌いたい歌がいっぱいあるの」。歌の力を信じている。

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