第10回「金沢区民ダンスフェスティバル」を企画・運営する 大辻 明さん 横須賀市在住 72歳
「女性を美しく」が仕事
○…しっかり伸びた姿勢から発する、はつらつとした声が印象深い。「年齢よりも若く見られるんです。頭も体も使うダンスのおかげ」とニッコリ。社交ダンスは、ペアとなる相手と呼吸を合わせることがもっとも難しく、魅力的だという。「特定のペアがいない人にもダンスを楽しんでもらいたい」という思いで「金沢区民ダンスフェスティバル」を企画・運営し、今年で10回目となる。
○…45歳の頃にナイトクラブに行ったことが、ダンスを始めるきっかけだった。ダンサーが踊っている姿を見ながら、「社会人のたしなみとして、あれくらいのことはできなきゃいけない」と思ったという。しかし当時は、映画「Shall We Dance」に始まるブームにはまだ早く、ダンス愛好家は少数。恥ずかしさもあり、教室の前を行きつ戻りつ何度も往復し、ようやく勇気を出して扉を叩いた。いざ始めると夢中になった。仕事の傍ら教室に通い、定年後は仲間とともにダンスサークルを設立。同時期に金沢区ダンススポーツ協会を立ち上げ、以来代表を務める。
○…幼少期、横須賀に移り住んだ。「いつもおなかを空かせていた」という戦後、アメリカ兵が乗る高級車の排気ガスが「おいしそうな匂い」に感じ、「みんなで追いかけて匂いを嗅いでいた」と笑う。つぎはぎのズボンで走り回り、木に登ってはミカンを獲り喜んだ。「当時の日本を考えたら、将来ダンスがこんなに流行るなんて考えられなかったなあ」としみじみ。
○…「何年もやっているけれど、まだまだ人に教えるような気持ちにはなれない」と話す。現在、社交ダンスにおける10のランク中3番目。さらなるランクアップが目標だ。技術はもちろん、所作を重んじる「紳士」としての精神も大切にする。「ダンスでは、女性を美しく見せるのが男性の仕事。どうしたら綺麗に見せられるか、まだまだ勉強ですね」
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