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金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2015.07.30

6月にメジャーデビューしたアコースティックユニット「サンドクロック」の
滝田 周さん
並木出身 29歳

盟友得て約束の舞台へ

 ○…「メジャーデビューして帰ってきます」――音楽の道を志した5年前に、そう宣言した地元・並木のステージ。相方の永田佳之さんを連れ、今度は「サンドクロック」として約束の舞台に戻る日が来た。

 ○…「並木がすごく好き。ふっと息を抜ける場所」と柔らかに笑う。毎朝、船の汽笛を聞いて目覚める海辺の街で、小中高と野球に明け暮れた。その傍ら、密かに抱いた歌への憧れ。「部屋でこっそり布団で口を押さえて練習していた」。父親が教鞭をとる緑ヶ丘高校(中区)に入学後、同級生が面白半分で薦めた校内のカラオケ大会で優勝。「校舎の窓から見ていた父が一番驚いていた」と笑う。慶応大学卒業を目前に控え、音楽への思いが再燃。「どこまでできるか確かめたい。怖いというよりわくわくした」

 ○…キーボードを相棒に八景島駅で歌い始めた。アルバイト後に真夜中の海で鍵盤を叩き、10人ほどの友人を前にライブハウスで歌う日々。「甘かった。いつか声をかけられると思っていた」と振り返る。曲に個性がないと評価されることも。「新しい価値観を取り入れないと進めないと感じていた」。永田さんと出会ったのはそんな時。「音楽性も人間性も真反対。一曲ずつ紹介して歌う僕と違い、ふらっと来て歌いだすような」。新たな世界に戸惑うも惹かれ合い、2つの個性が豊かに調和しだした。

 ○…伊勢佐木町で始めた毎週火曜の路上ライブは2年間、台風の日も必ず立った。演奏できずともそこに居る意味がある。「日常が上手くいかない人が足を止めてくれることも多い。ちょっとでも力になれたら嬉しい」と真っすぐ話す。「元気がでた」「火曜が生きがいになった」――ぽろぽろこぼれる涙と言葉を、胸にしまってある。だからこそ「落ち込む人の心に入る音楽を作りたい」。横浜出身の誇りも忘れたくない。音楽に憧れる人が「同じ横浜なら自分も頑張ってみようと思うような存在になれたら」

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