金沢区・磯子区版 掲載号:2018年2月8日号 エリアトップへ

1月15日、現役最年少で横浜市立大学先端医科学研究センター担当教授に就任した 武部 貴則さん 磯子区在住 31歳

掲載号:2018年2月8日号

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「乾坤一擲」で新発見追う

 ○…31歳という若さで横浜市立大学と東京医科歯科大学の教授に就任した。世界で初めてiPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基(肺芽)を創りだすなど、画期的な研究成果をあげる。肩書に興味はないと言いつつ「祖父母をはじめ両親や仲間、先生など周りが喜んでくれたことが素直に嬉しい」と笑顔を見せる。

 ○…最先端の再生医学に取り組む一方、広告医学という新しい学問領域の普及にも積極的だ。「先端医療で治せない病気の人が周りに結構いて。でも手当てする学問がなかった」。そこで、頭に浮かんだのが、「広告」。「商品を『買わせる』『興味持たせる』手法を医療に取り入れたら、人々の健康行動の自然な動機づけに繋がるのではと思った」。根底に流れるのは、「命を救いたい」という純粋な想い。研究をより加速するため、センター設立に尽力する。「最近は企業からの引き合いも多い。1年で結果を出したい」

 ○…意外にも幼い頃から「勉強は苦手」。中学受験で志望校に行けず、すべり止めの私学へ進学。アルトサックスを始め、朝、昼、放課後、夜と吹奏楽部漬けの日々をおくった。「合わない人を理解する」ことを覚えたのもこの頃。音楽への向き合い方や目標がバラバラな部員を率いて、音楽の質を高めるにはどうしたらいいか――。副部長として”つなぎ役”に徹し、仲間とともに約80人の部員をまとめた。その経験は、今のチーム運営にも生かされる。

 ○…携帯電話の壁紙は、尊敬する祖父の書いた「乾坤一擲(けんこんいってき)」の書初め。研究手法にも、リスクを恐れず飛び込む姿勢が表れる。詰将棋のように論理を積み上げていく研究者が多い中、「不確かでもまずは直感で前提を決めて進める。そのほうが、新しい発見ができる」と言い切る。たとえ結果が出なくても、失敗だとは思わないとも。「少なくとも『違う』ことが分かる。物事は裏と表。他の道が絶対にあるから」。ゴールを見つめるその目に迷いはない。

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