横浜市立中学校 "業者弁当"をモデル実施へ 給食導入は見送りに
横浜の市立中学校(147校)では、学校給食(※)が実施されておらず、生徒たちは主に家庭から持参した弁当を昼食としている。このような状況の中、市は”より望ましい学校昼食”のあり方を検討。今夏までに、民間業者による弁当昼食を柱に”横浜方式の昼食”を実践するモデル事業に取り組む方針だ。
文部科学省の統計調査(平成21年)によると、公立中学校での学校給食実施率(完全給食)は全国平均81・6%。神奈川県は16・1%で、平均を大幅に下回る。中でも横浜市は県内で唯一、ミルク給食を含むすべての給食を行っていない。
全国的に中学校給食が導入されたのは昭和40年代。しかし、当時の横浜市は「急激な人口増加に伴う仮設校舎の建設に追われ、給食室や給食センターの整備が難しかった」と市教育委員会・健康教育課の担当者は話す。横浜市では、原則として生徒持参の家庭弁当が昼食の基本。持参できない生徒は、民間業者の宅配弁当などを利用している。
しかし、「お弁当を毎日作るのは大変」など、保護者から給食実施の要望は根強い。一方、市では「給食導入は財政的な問題や空き教室・敷地の確保などの問題もあり、現時点では考えていない」としている。
横浜方式を模索
市は昨年12月、家庭からの弁当持参状況や弁当昼食の課題を見つけるため、教員・生徒・保護者ら約5000人を対象にアンケートを実施した。質問内容は「家庭弁当の課題だと思うこと」「中学生の望ましい昼食のあり方」など多岐に渡る。アンケート結果は今月中にまとめられ、学校昼食全体を把握するための基礎資料として使われる。また、市は”横浜方式の昼食”を実践するため、今夏までに複数のモデル校を選定。「栄養バランスを考えた民間業者による弁当昼食」などのプランが試される予定だ。
「中学校昼食」のあり方は、県内の他自治体でも見直されている。厚木市(中学校数13)では平成19年度から、完全給食を実施。北部と南部にある2カ所の給食センターで公立小を含む全36校分を作っている。
横浜市は「(横浜市でのセンター方式による給食導入は)温かい給食の配送など交通状況の問題もある。家庭の弁当を中心としながら、様々なケースに対応できるように、今の横浜に合った”学校昼食”を充実させたい」としている。
※学校給食…学校給食法により、給食内容にパンまたは米飯、ミルク、おかずがあるものは「完全給食」。それ以外の給食で、ミルクとおかずがあるものは「捕食給食」、ミルクのみのものは「ミルク給食」とされている。
|
|
|
|
|
|