新年の幕開けにあたり、本紙では坂本連・磯子区長に、恒例の新春インタビューを行った。東日本大震災を受けて重要性が増している地域のつながりの促進や、地域商店街の活性化など、区の取り組むべき課題について聞いた。(聞き手/本紙編集長・水戸浩一)
――まずは昨年、区として力を入れた事業などについて、お聞かせください。
「区制85周年ということもあり、地域の賑わいや魅力あふれるまちづくりに力を入れました。具体的には、商店街も地域の一つということで、商店街の活性化に力を入れました。おかげさまで朝市も定着しつつあるかなと感じています。
また、磯子まつりも85周年ということで、磯子アベニューを使って磯子センターまで一体的に行いました。これも例年よりも力を入れたところと思います。
あとはこれからのイベントにはなりますが、ダンスイベントを3月に行います。こうした子どもたちの文化イベントには力を入れたつもりで、これは今年も引き続き取り組んでいこうと思っています。ダンスだけでなく、今年は音楽も重点を置いてやっていきたい。
福祉関係では、民生委員による75歳以上のひとり暮らし高齢者を対象とした見守り推進事業が昨年11月から始まりました。磯子区では、一部の地区だけでなく区内全地域で一斉に始まったところです。また、2年ほど前からの取り組みですが、要援護者支援ですね。これも2年目ということで、取り組んでいる自治会町内会の数も増えてきました。
もう一つは、磯子区のカレンダーの作成。これも先ほど挙げた魅力づくりの一つで、大変好評でした」
――好評というのは、どのような面でしょうか。
「おそらく自分たちのまちの季節ごとのいい風景がカレンダーになっているという点でしょうか。『やはり磯子には、こんなにいい場所があったんだ』と、購入される方が多かったのかなと思いますね。10月からの販売で増刷もしましたが、その分も11月にはすでに完売しています」
朝市で商店街活性化
――商店街朝市については、回数を重ねるごとに定着化する一方、来場者数が徐々に減ってきていると伺っていますが、今後具体的な対策は考えていらっしゃいますか。
「朝市に合わせて何かイベントを組み合わせるなどを考えたほうが良いのかなと思っています。また朝市なので、季節的要素に左右される部分もあります。寒い時期は外ではなく区役所内で行うなども、来年度は検討していきたいと思います。ただ、朝市にきてもらうことだけが目的ではなく、地元の商店街を知ってもらうことが狙いなので、『朝市をきっかけに商店街に行きました』という声を聞けたのは嬉しいですね」
”元気で魅力的な街”めざす
――次に、昨年の磯子区を一言で表すと、どのような言葉になりますか。
「一言ではありませんが、『地域の元気が継続している』でしょうか。それを強く感じました。
昨年は小さい規模のところも含め、まつりや餅つき、民生委員が行っている高齢者の昼食会など、かなりの数の地域のイベントに参加しました。回ってみると、地域が元気になってほしいと、ずっと活動に取り組んでいる人がいて、参加している子どもたちやお年寄りなどが嬉しそうにしている。まだまだ地域の元気はしっかり残っているなと」
――ほかに感じられたことはありますか。
「磯子のことを好きな人が多いと改めて感じました。これまで『磯子のことを好きになってほしい』と呼びかけてきましたが、逆にみなさんから『磯子っていいところですよ』と声をかけられることが多かった。すごく嬉しいことです。
ただ、もっと地域を好きになってほしいという人たちもいます。特に、子どもたちや若い人たちです。また、区外からの新住民の方たちにも、まつりや防犯活動などを通じて、『あなたたちも一緒にやろうよ』と伝えていきたい」
地域の課題解決力支援
――では今年、区として力点を置いていきたい事業をお聞かせください。
「どのような分野であれ、地域の課題を地域が解決しようとする取り組み、それを区として重点的に支援していこうと考えています。防災や福祉、賑わいなど、自分たちで地元を何とかしていこうという地域の人たちの思いを大切にしていきたいですし、それを応援することが地域にとっても絶対にいいと思います。
事業では、安心安全なまちづくり。防災対策と減災意識啓発が第一。また、区の元気、魅力づくりに引き続き取り組んでいきたい」
――それぞれ具体的な予定はありますか。
「防災対策では、市の防災計画見直しを受けて、区の計画も修正します。また、地域防災拠点の場所などを記載した防災マップを全戸配布していきます。
魅力づくりでは、音楽イベントは継続的に取り組んでいきたい。また磯子の逸品スタンプラリーのような仕掛けも検討していきます。私自身もスタンプラリーを回っていて、すでに20個集めました。3月までには、全26店制覇をめざしたいです。また、すごく嬉しいことに、今度は店の人がほかの店と一緒になって商品開発を行うといった動きも出てきています。やはり『自分たちのことは自分たちで考えよう』という思いがあるのだと思います」
新たな地域の担い手育成
――区長就任から間もなく3年になりますが、その間、区内がどう変わったと感じていらっしゃいますか。
「職員には、地域のニーズは地域に出ていかないと分からないから、とにかく地域に出よう、あるいは窓口対応を通じて区民の方のニーズを知り、それらに取り組んでいこうと、ずっと話をしてきました。できたこととできなかったことはありますが、最近『磯子って面白いまちだよね』や『磯子は元気になっているね』といった声を聞く機会が多くなりました。地域に出ていく取り組みが少しずつ実を結んだ結果だと、私は感じています」
――逆に、ここは足りない、改善が必要と感じているところはありますか。
「足りないところとは少し違うかもしれませんが、もっともっと地域の方が区に何を望んでいるのか、それを私たちは真摯に聞く必要があると思います。今の取り組みが本当にそれで十分なのか、常に検証していく必要があります。
あと、特に感じるのは、地域で活動される担い手不足。区としても支援活動を行っていますが、まだまだ足りない。地域の方も感じていると思いますが、元気な磯子といっても担い手の方たちの高齢化が進んでいる。先ほどの話にもつながりますが、新しい人、若い人たちをどう地域に取り込んでいくか。最初は、健民祭に参加してもらうことからでいいと思います。そこから徐々に運営を手伝ってもらうといった流れができれば理想的ですね」
――最後に、区民へのメッセージをお願いします。
「今年も1年、区民の皆さんが明るく元気に過ごせること、そして、皆さんが住んでいる地域も元気で活気のあるまちになるように、区役所一丸で取り組んでいきます。本年もよろしくお願いいたします」
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