磯子消防署 消火活動に広報車活用へ 災害時消防車に加え出動
磯子消防署(深田稔署長)は、大規模地震発生時における住宅密集地区での延焼火災を防ぐため、広報車両を活用し初期消火を行う「広報消火隊」を組織する。この取り組みは市内でも初めてもの。署では、限られた台数の消防車に加わる新たな公助の役割を果たす組織として期待を寄せる。
広報消火隊は、大規模地震が発生した際に大型消火器を積んだ広報車両を活用して、消火活動を行う部隊。署の持つ消防車両の台数が限られていることや、大型車両が入れないような細い道での活動を可能にするため、独自に考案された。
滝頭地区で延焼火災阻止
同隊は、延焼火災が懸念される木造住宅密集地区で、火が近隣に燃え広がるのを防ぐために重要な初期消火や、通電火災防止の呼びかけを行う。
出動するのは、震度5強以上の地震が発生した場合。車両は、署から延焼火災の起こる危険性の高い滝頭地区へ移動し、火災に備えて消防団の詰所に待機する。消防署屋上と横浜学園(岡村)屋上で見張りを行う消防団員が、同地区で火災による煙を発見した際、特製の地図を用いて現場を特定。待機中の車両に無線で現場を指示し、初期消火を行う。
隊員は、職員と一緒に広報車に同乗する者と、高所見張りを行う者4人の計5人で構成される。消防団第一、二分団の団員が務め、7月6日に行われる発隊式で任命される。
区独自の細やかな対策
市が2012年に大幅改訂した地震被害想定では、M8・1、市内最大震度7の元禄型関東地震が起こった際、磯子区では約5000棟が焼失する可能性があると発表された。特に滝頭方面の木造住宅密集地区では、道路幅などが狭く、広域火災が危惧されている。
磯子消防署では、13年に発表された市の防災計画と
減災対策を受け「区単位だからこそ取り組めるきめ細やかな対策」として広報消火隊を考案。同署予防課の奥条俊雄課長は「災害時にはまず自助・共助が求められる。公助として消防ができる具体的な取り組みを生み出したかった」と話す。
また、奥条課長は「発足したばかりの部隊。課題も多く想定される。訓練を重ね、どのような状況にも柔軟に対応していきたい」と活動への期待を語る。
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