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公開日:2019.06.13

本牧三之谷丹羽さん
篤志家の思い継ぎ本出版
戦後の地元記事、一冊に

  • 出版した本を手にする丹羽さん

 本牧三之谷の丹羽和子さん(74)がこのほど、本牧に関連する新聞記事を一冊にまとめ、自費出版した。神奈川新聞の1946(昭和21)年から84(昭和59)年までの39年分。5年前に死去した本牧和田の須藤禎三さんの遺志を継ぎ、5年の歳月をかけて完成させた。丹羽さんは身近な地域の歴史を知る資料になればと期待する。

 出版した本は『「神奈川新聞」に見る昔の本牧・昭和21年から昭和59年まで』。A4判サイズで100頁からなる。1946(昭和21)年から67(昭和42)年までは、291本におよぶ記事全文を、それ以降は著作権保護期間のため記事全文は掲載せず、主な内容を紹介している。

「続きを託したい」

 郷土史に関心の高かった須藤さんは以前「『横浜貿易新報』に見る昔の本牧・明治31年4月〜昭和16年12月」という本をまとめていた。また85(昭和60)年以降については、須藤さんが神奈川新聞に掲載のあった本牧関連記事をスクラップした自作資料があるという。

 一方、太平洋戦争の期間をはさみ、84(昭和59)年までの資料が作成されていなかった。生前、須藤さんは地域の冊子づくりで関わりのあった丹羽さんに手つかずの期間の記事をまとめて欲しいと伝えていたという。

 その後、2014年に須藤さんが他界。「続きを託したい」と話していた須藤さんの思いに突き動かされ、丹羽さんは一念発起し、週1回、時間を決めて横浜市中央図書館に通った。

足かけ5年、文字起こし

 対象となった46年以降の神奈川新聞のマイクロフィルムを隅々まで読み、本牧に関わる記事をピックアップ(個人が特定できる記事を除く)。そこをコピーしては、自宅のパソコンで文字を起こす地道な作業を5年間続け完成させた。

 出版にあたって、13年の着任当初から親交のあった横浜市八聖殿郷土資料館館長の相澤竜次さんに相談。校正作業などの協力を得た。

 丹羽さんは作業を振り返り「昭和20年代には任命された民生委員の名前が紹介されているなど、今では記事にならない内容も紹介されていて、おもしろかった」と話した。

 八聖殿の職員とともに1カ月ほどかけて校正作業を行った相澤館長は「戦後の本牧の様々な様子が本当によくわかる一冊になりました」と高く評価している。

 発行部数は250部で本牧地区の小中学校をはじめ横浜市中央図書館や中図書館などに配布している。この本に関する問い合わせは八聖殿郷土資料館【電話】045・622・2624へ。

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