日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載12 法話箋 〜鹿苑〜 「悪を止め、善を行ず」
私たちの住む世界を、娑婆世界(しゃばせかい)と呼びます。これは、忍土(にんど)と意訳されます。つまり、娑婆世界とは、忍耐の土地といった意味合いでしょう。
我々の人生には様々な苦があります。誰しもが初めに生まれる苦しみ(生苦(しょうく))を迎えます。苦に満ちた世界への誕生そのものを苦の見るのです。誕生の瞬間から私たちは老い(老苦(ろうく))、歳をとれば病を患い(病苦(びょうく))、最後は命が尽きます(死苦(しく))。以上が、生老病死の四苦です。この他に、愛別離苦(あいべつりく)(愛しい者との別れ)・求不得苦(ぐふとっく)(求めるも得られぬ苦)・怨憎会苦(おんぞうえく)(虫が好かない他者との共存)・五蘊盛苦(ごうんじょうく)(肉体的精神的苦痛)の四苦も体験します。この四苦、或いは八苦に耐えながら生きる土地を娑婆世界と呼ぶのです。
しかし、単に苦しみに耐えることだけに集中してはなりません。それは利己的な行動だからです。この苦しみの中、周囲に気を配り、悪を止めて善を行じることが釈迦の勧める生き方です。
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