保土ケ谷区 社会
公開日:2025.08.14
英連邦戦没捕虜を追悼
狩場町の墓地 祈り捧げる
狩場町にある英連邦戦死者墓地で8月2日、第二次世界大戦中に日本軍の捕虜となり亡くなった英連邦兵士を追悼する礼拝が行われ、市民や大使館関係者らが参列した。
「決してあなたのことを忘れません」「最愛の息子よ」―。そこに眠る人の名前と没年月日、年齢が刻まれた墓石の銅版には家族からの思いを記したメッセージが刻まれている。
樹木に囲まれ、手入れの行き届いた青々とした芝生が広がる英連邦戦死者墓地は、13ヘクタールの敷地にある。第二次世界大戦時に日本軍の捕虜となり、収容所で命を落とした英連邦諸国(イギリス・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・インド・パキスタンなど)の兵士ら約1800人が静かに眠っている。
英連邦は1917年、戦死者の遺体は本国に送還せず、階級差になく現地で埋葬することが決定。狩場町の丘の上にあるこの墓地は46年に保土ケ谷錬成場を進駐軍が接収し、英連邦の戦没者の墓を集め造成された。
追悼礼拝は、日本軍が進めたタイとビルマ(現ミャンマー)をつなぐ「泰緬鉄道」の建設現場で旧日本陸軍通訳を務めた故・永瀬隆氏らが呼び掛け、終戦から50年の節目となった95年に開始。毎年8月の第1土曜日に執り行われる。
今年で31回目を迎えた追悼礼拝には、英連邦戦没捕虜追悼礼拝実行委員会のほか、各国の大使館関係者らが参列。高校生や大学生も訪れるなど、多世代が祈りを捧げた。受け付けでは、捕虜となった人々の当時の声などをまとめた冊子の販売もあった。長年にわたって追悼礼拝に参列している田村佳子さんは「英連邦戦死者墓地をきっかけに、学校では習わなかった捕虜の方々のことを学んだ。若い人たちに伝えていきたい」と語った。
たちばなLCも協力
保土ケ谷区を拠点に活動する横浜たちばなライオンズクラブ(小島衛会長)は、今年で21回目の参列。追悼礼拝で使う椅子やテーブルを提供し、設営を手伝った。
納骨堂に献花した小島会長は「互いに歴史認識の違いがあっても、戦争により多くの犠牲者が出たことには変わりない。国際的な人と人の気持ちの結びつきにより、異なる文化や価値観を持つ人々が豊かな関係性を築くことができると思う」と平和を願った。
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