鶴見区 人物風土記
公開日:2015.02.05
横浜を舞台にした連作ショートフィルムを制作している
利重(りじゅう)剛(ごう)さん
鶴見区出身 52歳
”一瞬”捉える映画人生
○…中区にある名画座で、”おまけ映画”として上映されている連作ショートフィルム『Life works』。アメリカでたまたま観た、本編前に流れるおまけに魅せられ30余年。「偶然の出会いによって、その人の生活が少し変わるようなことを映画でやってみたい」と、横浜を舞台に様々な人生の一瞬を切り取った。「横浜全体が大きなドラマになったらきっと面白い」と胸をふくらませる。
○…鶴見で過ごした小学校時代。休日には決まって友人と近所の名画座に出かけていたが、卒業後に伊豆へ。映画館のない田舎町で「自分は映画が好きなんだ」と気づかされた。一日かけて沼津の映画館に行ったある日、「作品がつまらなくて”こんなの俺でも作れる”って思ったとき、映画づくりへの欲望が湧き出た」。映画研究部のある高校へ進学。自主制作した作品が映画界の巨匠・岡本喜八監督の目にとまり、18歳の若さで脚本・助監督として岡本作品を手がけた。
○…監督の勧めで当時から俳優業もこなし、今では名脇役としてテレビドラマでも欠かせない存在。2年前から中華街の一角で〈LIFE WORKS studio〉を主宰し、俳優たちが様々な芝居を試せる場を提供。そこで練り上げられたシーンのいくつかが、上映作品に反映されている。「今も鉄のにおいが記憶に残る、鶴見の工場地帯も撮ってみたいと思う」。アイデアは街を歩いているときに浮かぶことが多く、ふとすれ違った人を役柄の参考にすることもあるという。
○…できるだけ土日に休みを作り、10歳の愛娘と過ごす。小学校の読み聞かせボランティアにも参加し、「娘の好きな男の子を偵察しに行く」と目尻を下げる。「今後いろんな監督にも参加してもらい、5年は続けたい」。始まったばかりのプロジェクトに「昔の”ニュース映画”みたいに、みんなが知っているおまけにしたい」と、新たな文化を発信していく。
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