横浜商科大学の学長に就任した 清水 雅彦さん 東寺尾在勤 76歳
信頼が生む、豊かな人生
○…今春、コロナウイルスが蔓延する最中の就任。本来、開かれた場である大学を閉鎖する苦悩に苛まれながらも、予防対応を尽くした。現場に出て、その目で地域経済の実情を見抜き、学問的に裏付けていく実践的教育を大切にする大学。「コロナウイルスの影響による社会の構造変化も研究対象になる」。すでにその目は、一足先を見据える。
○…慶応義塾大学名誉教授でもあり、教職員として50年。大学院時代は、調査で世界を旅した。東アジアを訪れた時に見た疫病が幼い命を奪う姿。「貧困は人間社会の脅威だ」と強く感じ、経済発展を学んでいくことを決めた。30代の頃、調査で訪れたエジプト。ピラミッドなどの歴史的建造物を見て思わずつぶやいた。「こんなに素晴らしいものを作れるのに、この国はなぜ貧しいのか」。エジプト国民の「今、この国は休息の時だ」とジョークを交えた答えに、経済発展は一直線に進むものではないと知った。多様な国に足を運びながら、実証的な研究を重ね、豊かさを追求してきた。
○…各国の料理を食べることが好き。人を誘って楽しむことも多いが「外国の料理は苦手な人もいる。誘う前に見抜くのは難しい」と笑う。趣味は癒しの源泉と表現するオペラ。「あんな面白い総合芸術、これから作ろうと思うと大変だよ」
○…「人に託される人になれ」。学生たちに日々伝えている言葉だ。長年の知見がそこには含まれる。「多くの知的経験を得て、面白いと思って仕事に取り組む人になってほしい。一生懸命取り組むと関わった人から信頼される。多くの人から信頼を勝ち得たら、それは豊かな人生に違いない」。自身の目で学んできた指導者が学生たちへ豊かさを教えていく。
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