鶴見区 人物風土記
公開日:2015.08.06
映画人となり約50年、数々の記録映画を撮り続けた
四宮 鉄男さん
東寺尾東台在住 75歳
生き抜く人 映す人生
○…自身、最後の作品と位置づける、闘病しながらも撮り続けた記録映画界の盟友・大重潤一郎氏の生き様を映した『友よ!』。8月15日、三ツ池公園で活動する市民団体主催の上映会に、制作者本人としてゲスト出演する。結婚後、妻の実家があった鶴見に越して以来、意外にも地元での上映会は初めて。「今まで縁がなかった。近所の人は俺がこんな仕事していると知らないんじゃないかな」。そう言って笑う。
○…「生きるのって辛いこと。それでも生き抜くから、人それぞれで素晴らしい」。人生を映す、ドキュメントの魅力。原点は下宿先の業界人との出会いだ。福岡県から上京後、講談社で編集者として勤務していたが、編集長と折が合わず、誘われるままにその道に入った。「すぐに記録映画界のレジェンド・土本典昭さんに付いてね」。映画の面白さを知った。
○…昨年、最後の作品を完成させるまでは、常に仕事の毎日だった。岩波製作所での企業PR映画の製作などを経て、記録映画に目覚めたのが30代のころ。数えきれないほどの作品を生み出してきたが、「ほとんど頼まれたからだよ」とおどける。それでも、現場に行くと人が面白く興味深いのだ。どの現場にも事前情報を学ばずに向かい、自然に撮る。インタビュー中心の作品には、通常入れるはずの挿絵を入れず、話す顔だけを映し続ける。「表情が物語るんだよ。景色は想像すればいい」
○…「沖縄は風がいい。鶴見にはこんな風は吹かない」――沖縄で新作を撮影中の大重さんを映した『友よ!』の冒頭の言葉。昨年11月、市内であった上映会に参加していた今回の主催メンバーが、鶴見というひと言を聞き、地元開催が決まった。「ようやく縁があった」。今後は、依頼された編集作業をこなしながら過ごす日々。何もしないことが趣味と、大好きなお酒を飲み、のんびりと。「あとは休むだけ」。そう笑った。
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