菅田町在住の原田敬さん(61)は約20年間、一から「オルガニート(手回しカード式オルゴール)」の制作を行ってきた職人。長年の独自研究により、曲カードを作る際に欠かせないパソコン用編曲ソフトやカードに穴をあけるパンチ機器の制作、オルゴールの調律に至るまで、”ありそうでなかったもの”の数々を作り上げてきた。
原田さんがこの道を歩むきっかけは、サラリーマン時代にオルゴール事業部に配属されたこと。名産地のひとつである長野県諏訪で技術を磨き、40代の若さで独立し自宅でオルゴール制作・修理に専念するようになった。
当初はオルゴールに注目が集まっていなかった頃。そんな中でも原田さんは楽しさから制作に明け暮れ、この活動を知った反町在住の宮本由利子さんとともに編曲作業なども行うようになった。
最初は全て手作業だったが、パソコンで曲カードを作れる編曲ソフトがあれば一般の人も手軽に制作できる。そこで、もっと親しんでもらえるのではと思い立ち、研究を重ねて独自のソフトを作り上げるなど「裏方」として業界を牽引。この他にも、音を奏でる機器の歯を砥石で削って調律を行ったり、今では一般的ではないが美しいハーモニーを奏でられる音律・純正律を用いたり、通常20個のみの音で表されるものの音域を広げ黒鍵の音まで再現できる33個バージョンを新たに手掛けるなど、市販には”ありそうでなかったもの”を意識した独自性と、繊細かつ丁寧な仕事ぶりで顧客たちを魅了してきた。
この仕事の醍醐味を原田さんは「誰よりも早く自分の手掛けた音を聞けること」と話す。「私が同じように作っても音はそれぞれ微妙に違うのだから、それこそ100人が作ったら100通りのものが出来上がる。今後自分もやってみたいという人が出てきてくれたら嬉しいね」と微笑む。
原田さんのオルゴールはHP(【URL】http://www.01.246.ne.jp/~ttha/)で購入可。
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