年頭にあたり、本紙では神奈川区の取り組みと今年の展望について、高田靖区長にインタビューを実施した。高田区長はこれまで地域住民と取り組んできた防災・防犯、子育て支援、高齢者の見守りなどが段々と深まり、横のつながりが広がってきているとした上で、今年はさらに発信力を強めて必要とする人に情報が届くよう「顔の見える関係づくり」を実践していく姿勢を示した。
(聞き手/本紙編集長・藤原裕志)
風水害対策の重要性
――昨年はどのような年でしたか。
「令和という新たな時代を迎え、相鉄・JR直通線開通に伴う羽沢横浜国大駅の開業、三ツ沢を拠点に活動する横浜FCの一部リーグ昇格、横浜マリノスのリーグ優勝など、区内でも嬉しいニュースが多く祝賀ムード溢れる一年でした。
一方で、過去最大クラスの台風15号・19号により、区民まつりが初めて中止となったほか、区内でも大きな被害が発生しました。これまで地震対策に注力してきましたが、風水害対策を含めたすべての防災支援をトータルで進めなければならない重要性を改めて感じる年でもありました」
温かく元気なまち
――区政の振り返りをお願いいたします。
「区としては、『笑顔でつながる神奈川区』を運営方針の基本目標に掲げ、特に防災・振り込め詐欺対策・子育て支援・健康づくりに力を入れ、地域の皆様とともに安心で温かい元気なまちづくりを進めてきました。
防災面では、防災情報をまとめて保管できる『自分でつくるmy防災マップ』を12万世帯に全戸配布したほか、各地域防災拠点に更衣室用テントや防犯ブザーなど女性の視点を取り入れた備蓄品を整備、さらに区内の保育・教育施設を対象に防災アドバイザーを派遣して講座を行うなど、子育て施設の防災力強化を図る事業も実施しました。こうした取り組みが地域防災について考える契機となり、防災対策を一層進めることにつながればと思っています。
振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺については、神奈川区の被害額・件数が県下ワースト1位となっていることから、警察と連携して対策を進めています。昨年は65歳以上のみの世帯を対象に詐欺対策になる自動通話録音装置140台を無償で貸与しました。来年以降もこの支援を継続するとともに、このような電話機を個人で購入することを促進する方策も検討しています。
健康づくりに関しては、庁舎1階の総合受付近くに『健康チェックコーナー』を設け、脳・血管年齢測定機器を設置し情報発信を行いました。今後はこれを拡充できるよう、地域の保健活動推進員やヘルスメイトの皆様と協力して催しなどを積極的に展開していきたいと考えています」
顔の見える関係づくり
――就任3年目となる2020年度の主な取り組みを教えて下さい。
「昨年の台風の経験を踏まえ、地域の皆様のご意見をうかがいながら、風水害の被害軽減や避難所のあり方を検討する取り組みを進めていきます。地域防災拠点の運営委員のための講座やマニュアルの改訂、古い備蓄庫の見直し、災害時に活用できる無線通信設備の拡充など、区でできるところはハード面も含め支援していけたらと思っています。
来年度から始まる、『かながわ支え愛プラン(第4期神奈川区地域福祉保健計画)』の本格的な策定作業も進めていきます。今年中に地域の皆様からご意見をいただき、困った時に支え合い誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを目指して、今行っていることを次のステップに進めるための話し合いを行いながら、素案を策定いたします。
また、親子のたまり場『すくすくかめっ子』が今年20周年を迎えます。このようなこれまで地域で進めてきた様々な取り組みは『区の宝物』だと思いますので、今後も継続していきたいです」
――最後に区民へのメッセージをお願いいたします。
「これまで地域の皆様と取り組んできたことをさらに深め、横への展開・連携を進めるとともに、その内容をしっかりと発信して必要とする人に情報や支援が伝わることが大切だと考えています。そのためにも現場主義を徹底し、地域にどんどん顔を出させていただき、地域の皆様に寄り添ってお困りごとをしっかりと受け止めて、区役所の最大の強みである『顔の見える関係づくり』を実践することで成果を上げていきたいと思っています。
区民の皆様にとって、新しい一年が笑顔の絶えない年となりますよう、皆様と手を携えて、地域の総合拠点としての役割をしっかりと果たしていきたいと思います」
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