神奈川区 人物風土記
公開日:2025.09.11
ハム・ソーセージ・ベーコン製造技能士として神奈川県技能士会連合会の行事で講演した
丸山 富仁さん
六角橋在住 57歳
「手仕事」こだわる職人(マイスター)
○…「かみわざれん」と書いて神技連(しんぎれん)。一般に「職人」と呼ばれる県内各業種の技能士のひとりとして、連合会のイベントで講演した。講演ではハム・ソーセージ造りをテーマに、同じ「神技」を持つ仲間たちへ技術を後世に残すことの大切さや誇りを語った。「通ずる部分や参考に感じていただければ、話した甲斐があります」と語る。
○…六角橋の上麻生道路沿いに工房兼ビアバー「ブーシェル」を夫婦で構え11年。本場ドイツで学んだ昔ながらの製法で200種類近くのハム・ソーセージを作る。工房には大型の機械を置かず、「オペレーターではなく、職人でありたい」と手作業を貫く。もともと生まれ育った静岡で出店し、桜木町への進出を経て製造場所を併設できる六角橋の物件へと移転した。常連たちに「ビールを振る舞うから」と声をかけ、店の内装を一緒に作り上げたことも。「お客さんと一緒に店作りから始めるなんて、なかなかない経験でしたね」と当時を懐かしむ。
○…飛行機製造会社から転身した異色の経歴。世界標準を相手にする航空業界で働いた経験から、妻の実家である精肉の道へ進んだ際も「世界に通用するものは何か」を模索。29歳でハム・ソーセージの世界にたどり着いた。知識ゼロから食肉学校で学び、オランダ人マイスターの勧めでヨーロッパの世界大会に挑戦。金賞受賞を名刺代わりに、ドイツの工房を自らの足で巡って見分を深めた。
○…10年以上前から児童養護施設との関わりを持ち、様々な事情で働きにくい若者たちの就労を支援する活動も行う。「ここで働くことが、彼らが次に繋がるためのきっかけになれば」。技術だけでなく、人として、職人としての生き方をその背中で伝える。
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