発足20周年を迎えた、川崎古式消防記念会の会長を務める 木村 政彦さん 市内在住 76歳
感謝を胸に、伝統守る
○…木遣り、まとい振り、はしご乗りなど古式消防の伝統を今に伝えようと、昭和29年から続いた組織を再編し20年。鳶職や大工などの職人だけでなく一般市民も受け入れ、現会員は90人ほど。「木造住宅が減り、職人の数も少なくなった」と会員減を危惧するが、重んじているのは人とのつながり。「伝統を通して人と交流できるのが日本人の良いところ。会長として連携を図りながら組織を存続させていく」
○…父は工務店を経営し、住み込みの従業員が数人いる家庭で育った。建物を移動させる曳家(ひきや)という職種に「大変そうで継ぎたくなかった」と、大学進学を見据え日大高校へ。それでも働く父の背中をみるうちに、長男としての責任感が芽生え就職。「逆らうと鉄拳制裁は当たり前」――そんな父だったが、35歳で経営を譲り受けた時に「よく後を継いでくれたな」と初めて労いの言葉が。「嬉しかったね。今度は俺が父と従業員の生活を守っていくんだと」。大黒柱として30年間、その思いを貫いた。
○…酒やたばこは一切しない。「酒を呑んで従業員同士がけんかする姿を子どもの頃よく見てね。トラウマでいまだに晩酌もしないよ」。健康第一で、毎日歩いたり自転車をこいだり。御朱印帳を手に全国の寺院に出向くのも趣味。4年かけて四国八十八の霊場も巡った。「手を合わすと心が洗われるんだ。人に支えられて自分がある。そんな感謝を込めてね」
○…新型コロナの影響で周年式典などは取りやめたが、伝統を伝える機会は模索している。「はんてんやわらじなど装束に憧れる方も多い。まずは気軽に触れてみてほしいね」。3人の子と孫の成長も生きがいだ。「せめて85歳位までは見届けたいね」。後進や家族へその背中を見せ続ける。
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4月19日
4月12日