宮前特殊災害対応隊
化学物質想定しテロ対策
麻生消防署らと合同訓練

トリアージする宮前特殊災害対応隊

　宮前特殊災害対応隊が２月15日、麻生消防署警察らと連携して小田急バス（株）新百合ヶ丘営業所駐車場でテロ災害対策訓練を実施した。実践的な訓練に約70人が参加し、テロ災害時の連携、即応体制の強化、確認を行った。

　川崎市消防局では、２００７年から臨港消防署で特別高度救助隊、宮前消防署で高度救助隊を運用。16年からは、宮前消防署に市内２隊目となる特別高度救助隊の運用を開始している。当日は、その一部隊である宮前特殊災害対応隊の３人が参加。麻生消防署や麻生消防団、麻生区役所、麻生警察署、神奈川県警第一機動隊、小田急バス（株）らと大規模訓練を行った。

　訓練は近年の公共施設内でのテロ災害を受けて実施。犯人が走行中のバス車内で液体（サリン）をまき、乗客を刃物で切り付けて逃走、車内に複数の乗客が倒れているという想定で行われた。

　犯人役の男性が乗客役の人たちを次々と襲い、車外へ逃走。１１９番通報で駆けつけた警察官が刺股などを用い犯人を確保した。後から駆けつけた県警ＮＢＣ（核・生物・化学物質）テロ対応専門部隊、麻生消防署特別救助隊らに情報を共有。防護服を着た同部隊が液体の成分を調べ、同消防隊が車内に取り残された乗客を救助していった。その間、液体がサリンだったことが判明。宮前特殊災害対応部隊らが救助者の除染を行いながらトリアージし、搬送するまでの一連の訓練を行った。

　今回の訓練を振り返り、宮前消防署警防第１課では「各関係機関の連携、情報共有することによって、負傷者の方々の負担軽減につながる。いつ発生するかわからないテロ災害に備えて、今回の訓練の成果が十分に発揮されるようにしていきたい」と講評。小田急バス新百合ヶ丘営業所の秋山浩史所長は「バス会社単独ではこうした訓練はできない。ありがたい経験で今後の業務に生かしていきたい」と話した。