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高津区 コラム

公開日:2022.04.08

不定期連載コラム
違っているから、おもしろい!
第9回 サッカーW杯、対戦国の絵本が教えてくれるもの

  • 『わたしはせいかガブリエラ』東郷聖美 作福音館書店

 今秋行われるサッカー・ワールドカップの組み合わせがニュースを賑わしていますね。日本の3戦目の相手は強豪国「スペイン」!そこで今回は、主にスペイン語を公用語とする「ボリビア」と日本を題材にした、とある絵本のエピソードを紹介します。



子どもは世界共通の「たからもの」



 今から十数年前、ある1冊の興味深い絵本を見つけました。画家でもある日本人女性が書いたお話で、5歳の女の子が日本とボリビアの日常生活の違いを一つひとつ紹介するという内容でした。さし絵のほっこりしたタッチやひらがなのルビが振られたスペイン語と日本語で語られる可愛らしい絵本です。



 主人公の名前は、せいかガブリエラ。その小さな女の子の視点で食べ物や着るものの違いを説明しています。せいかちゃんの生活は、お母さんと買い物に行ったり、きれいな服を着たり...。一見日本の子どもと変わりませんが、「にほんでは、スーパーでおかいもの」「ボリビアでは、じゃがいもをいちばでかったよ」「ボリビアではバナナをやいてたべる。にほんでは、そのままたべる」とか、チョリータという民族衣装なども紹介されて、大人でも知らない文化を楽しめます。実際のところ、南米で加熱して食べるというバナナは、プラタノという別の種類のバナナです。私の活動している絵本の読み聞かせでは、異なる言語や文化を絵本を通して紹介していますが、日本人の子どもたちは、遠い未知の国に思いを馳せ、その国出身の子どもたちがいれば、自分の知っている限りのことを一所懸命教えてくれます。そして、この絵本の素晴らしいところは、最後のページ、ボリビア人のとうさんが、「おまえは、ぼりびあのたからもの」そして日本人のかあさんが「あなたは、にほんのたからもの」というのです。生活や文化、言葉の違いこそあれ、どの子もみな「たからもの」という。違っていても、その違いを楽しみ、互いを慈しむ気持ちがあれば、世界は平和になるのではないでしょうか?



 見た目が違っても、一歩近づいてみてください。きっと共通の「たからもの」が見つかるはずです。

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