県立中原養護学校(及川利紀校長)=井田=で8月27日、不審者の侵入を想定した訓練が教員を対象に行われた。学校からの依頼を受けた中原警察署の生活安全課が協力した。
同校では毎年、学校独自に訓練や講義を実施している。今年は大阪府・附属池田小学校の児童殺傷事件から20年経ったことを受け、中原署に協力を要請。分教室を除く129人の教員のうち、約100人が参加した。
課題の明確化と児童・生徒の安全確保の確認が、訓練の主な目的。署員が不審者役を演じ、知的障害の高校生のクラスがある階に侵入したことを想定して行った。第一発見者の教員が、あらかじめ決めてある合言葉を発して各学級に伝達し、生徒の安全確保を実践するまでの流れを繰り返し訓練。署員は、身を守れるバインダーなどを持って対応することや、児童・生徒がいるときは合言葉が聞こえにくいことなどを指摘した。
家庭内暴力の加害者である父親が侵入するなど、不審者のパターンも変えて実施。訓練を主導した中原署の浮田裕輔さんは、「過去の事件を見てみると、教員の言葉や対応によって不審者の矛先が変わったり、激昂する場合がある。相手の調子に合わせることなく、冷静な判断を心掛けてほしい」と話す。
同校は小学部から高等部まで敷地内にあり、児童・生徒約160人に対し、教員は129人。担当教諭は「うちは教員の数が多いので、今まで教員の動きばかり考えていた。署員の話を伺い、子どもたちにも対応を伝えていかないといけないと思った」と話した。
「やまゆり園」事件から5年
相模原市の障害者施設・津久井やまゆり園で45人が殺傷された事件から、7月で5年となったことも訓練のきっかけの一つ。
神奈川県は事件後、「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、差別のない共生社会を目指している。だが、県が昨年行った県民ニーズ調査によると憲章の認知度は22・9%。エリア別に見ると、川崎市が最も低い15・4%だった。