麻生区版 掲載号:2014年6月20日号 エリアトップへ

麻生の歴史を探る 麻生の古道(4)高石の古道

掲載号:2014年6月20日号

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 弘法松公園には今でも富士浅間を祀った”浅間の森”がわずかに残っています。高石には”森”と名付けられた地が多く、浅間の森・八幡の森・春日の森・お伊勢の森・権現の森・稲荷森などがそれで、それぞれが由緒を持ち、そこには里道が集まっていたようです。 明治14年版の地図を見ると、この弘法松(浅間森)からの道筋は、八幡の森へ向かう尾根道(東進)と春日の森(百合丘小西に在りましたが現在面影なし)方面へ降りる道が太線で示され、里道と思われる点線が記されています。この八幡の森への稜線は多摩川と鶴見川の分水嶺で、そこに真福寺側から稜線に登る眞禅坂と呼ぶ急坂(現三井第一住宅)がありました。義経・弁慶の「鍋ころがし」(写真右上)の逸話はこの辺のことで、いかに谷が深かったかを物語っています。八幡の森はその昔、源氏の氏神八幡社の社祠が在った(武蔵国風土記)と伝えられるところで、その海抜は約120mと、この界隈では最も高く、品川沖の船帆が見えたほどです。前記の地図には、ここで亀井城跡からの尾根道と早野・王禅寺からの尾根道の交差が示され、亀井からの道(枡形道)は塔の越の尾根(原店)を生田に向かい、一方早野からの尾根道はこの地を横断、お伊勢の森(高石神社)方面へ尾根を降りています。

 八幡の森からお伊勢の森への道筋は、三谷(現高石4丁目)を経て石神(3丁目石神社が在った)への道があったようです。義経・弁慶の二枚橋(写真左上)の伝承は、この石神から菅の寿福寺へ向かう途中、朽ちかけた幅6尺ほどの橋を補強、二重にしたのでその名が付いたとされています。この道は細山、読売ランドを縦断して矢野口に至りますが、菅の寿福寺には、寺宝大般若経600巻の中に義経・弁慶の書写が納められているそうです。

 お伊勢の森=写真=(海抜約118m)は、往古伊勢宮があったことからその名がついたといわれ、ここには幾筋かの里道が集まります。地元では鎌倉道があったと伝承されますが、その主な道筋は、万福寺に近い権現の森(熊野社)から細山(西部)を経て稲城長沼へ、前記石神への尾根道、そして細山秋葉社、神明社を経て矢野口へ向かう道、があったようです。

 一方弘法松から春日森(現百合丘小西)に向かった道は、高石・万福寺境の追分から権現森を経て稲城長沼、百村の妙見宮(天平宝字4(760)年の古社)に至っており、この道も鎌倉道と伝承されます。古老の話では権現森は通称権現様と呼ばれ、その祭神は鎧兜に身を固め、白馬にまたがった武者姿であったそうです。前稿笹子姫伝承の法雲寺に近く、お伊勢の森とは尾根道で結ばれるこの地は、もともと高石が稲毛三郎の小沢郷の本拠地であったことからして鎌倉有縁の里道が縦横にあったのではないでしょうか。

 麻生区役所周辺を前記明治14年版の地図で見ると、春日森より現万福寺檜山公園を経て、十二神社付近で太線(津久井道)に交差し、細山に向かう細線(笹子農道:現新百合山手中央通)と、麻生警察署北の地点から万福寺・古沢の境を金程の尾根に登る坂道があります。この坂道は平成9年、万福寺土地区画整理事業の際、”鎌倉時代の軍道”ではと物議をかもしたことがあり、事業がストップ、再調査の結果その遺跡はなく、現在この道は”古沢こもれびの杜緑地”として、所と名を変え保存されています。

 参考資料:「ふるさとは語る(柿生郷土史刊行会)」「人・緑・文化(万福寺土地区画整理事業記念誌)」「歩け歩こう麻生の里(麻生老人クラブ連合会)」文:小島一也(柿生郷土史料館相談役)

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