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麻生の歴史を探る 麻生の古道(5)伝承鎌倉道〜片平

掲載号:2014年7月18日号

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燈籠の松
燈籠の松

 元弘3年(1333)、新田義貞の鎌倉攻めは片平にあった台光寺という寺を焼いた、との伝承があります。一方、現修廣寺の前身と言われる台光寺が小字寺台にあったとされ、そこには鎌倉時代創建とされる熊野権現社の跡地もあり、そしてその昔、鎌倉道があったと言い伝えられています。

 この片平の地はその名のごとく片平川をはさんで二つの大地に分かれますが、北側に急坂が多いのに対し、南側は穏やかな傾斜の平地が多く、そこにある道は、南側には隣接する栗木、真光寺、能ヶ谷境の尾根道と、北側には片平川北岸に沿う道、そして南側の尾根道から片平川流域を超え、北側に向かう幾筋かの官道がありました。

 寺台からの道は麻生川右岸の山裾をぬって片平葉積台、古沢、万福寺に向かいますが、葉積台には夏刈谷と称するところがあり、源頼朝が狩猟したところと伝承されます。その伝承をもとに、修廣寺の前身である台光寺(柿生小学校の南後方にあり、夏蒐の地名があった場所)の山号として”夏蒐山”が名付けられ、修廣寺に引き継がれたものと考えられます。続く古沢の地は源頼義(前九年の役)に仕えた古沢氏の在所で、熊野権現社の跡地もあり、また、鎮守九郎明神社は源義経を祀ったとされ、さらに前述した後白河法皇の笹子姫はこの地に落ち延びたと伝承されており、この道筋は鎌倉以来の古道であったのでしょう。

 片平のほぼ中央、京保台(享保台)、そして原台には町田広袴境の富士塚(海抜98・64m)の尾根を経て片平川を越え、現柿生学園(片平分校)から五力田、平尾、金程に向かう坂道がありました。この道を道庄坂と呼び、五力田との尾根境を相の坂と称し、そこには善明寺(廃寺)があり、今は全く形状を変えましたが、小高い丘(87・36m)には、”燈籠の松”と呼ばれる老松がありました。「形状いかにも風致に富む、昔の鎌倉街道にあたり、この松に燈籠を掲げしと伝えり・・・」(柿生岡上郷土史)と記し、鎌倉道があったことを伝えています。

 片平・栗木堺の尾根道で、広袴・真光寺から超える道を”亀井坂”と呼びますが、これは亀井六郎に関する伝承によるもので、この道は平尾から稲城坂浜方面に向かっており、栗木・平尾堺の峰(標高約120m)に大きく枝を広げた”御座の松”と呼ぶ大松があったそうです(明治6年枯死)。地元古老の話では、ここは分倍河原に通じる鎌倉道で、元弘3年新田義貞の鎌倉攻めの際、敗れた鎌倉方の兵士を葬った塚で、供養のため松が植えられ、地元では”厄除け松”とも呼んだそうで、現平尾団地(13号棟)と栗木の境には”御座松塚跡”と記した二世の松が植えられています。

 一方、五力田から金程に向かった道筋は向原から現千代ヶ丘を経て、鎌倉道の頂と伝承される”七国峠”に達します。ここは標高136m、七つの国(武蔵・相模・伊豆・駿河・甲斐・上総・常陸)が望めたからその名がついたといわれ、義貞軍もこの地に陣を敷いたことでしょう。

 この地は約200年後の享禄3年(1530)、上杉・北条の戦いで菅の小沢城を陥した上杉朝興軍は小沢原(現金程一丁目)に布陣し、これを迎え撃つのは北条早雲の孫、若干16歳の氏康で、上杉軍を破り、勝った勝ったの勝鬨を上げたところが、金程から細山に通じる勝坂とされ、その折の戦いの伝承が矢崎・陣川・膳部谷戸・隠れ谷戸などの名がありますので、そこには軍道が通じていたのでしょう。

 参考資料:「川崎市史」「川崎地名辞典」「歩け歩こう麻生の里」「詳細首都圏地図(昭文社)」文:小島一也(柿生郷土史料館相談役)

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