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柿生郷土史料館タイアップ企画 柿生文化を読む 第120回 シリーズ「麻生の歴史を探る」民間信仰(5)石造物〜子育て地蔵 後編

掲載号:2018年3月9日号

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 【前編から続く】前稿岡上川井田の子育て地蔵は、別名「水子地蔵」とも呼び安政二年(1819)建立の銘があります。赤子を亡くした母の悲しみに勝るものはありません。死んだ赤子が「賽の河原」で父母を慕い石を積んでいると、鬼が出てきて壊してしまいます。これを救って下さるのが地蔵菩薩で、この水子地蔵は、現在、三輪高蔵寺の別院下三輪の水子地蔵尊が信仰を集めていますが、岡上の場合、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ柔和なお姿の地蔵に、毎年地域のご婦人が、新しい頭巾、新しい袈裟をお着せしているそうです。

 お地蔵様の中で一番古いのが子育て地蔵ですが、「あぐり地蔵」と呼ぶお地蔵様が幸区の小倉にあります。これは尻手黒川線道路の尻手の手前、鶴見川の末吉橋の傍らにある、小さなコンクリートのお堂に納められた子育て地蔵のことで、この地方の伝承では、生まれた子の病気や育ちが悪ければ、この地蔵に祈願すれば健やかに成長する、と信仰されています。「あぐり」とは、あがり、あふれる等の言葉の意味があり、「あぐり」の名の多い地方の伝説から、男の子も女の子も、七歳までは「あぐり」の名で呼ぶと願いが叶うとされ、現在この地では、町内会、老人クラブ有志の方が子育ての重要性を考え、地元の正蔵寺(浄土宗)の協力を得て、毎年「あぐり地蔵尊供養祭」を催しているそうです(川崎の民間信仰)。

 町田市の小野路に「三体地蔵」と呼ぶ子育て地蔵があります(町田の歴史をたどる)。小野路と言えばその昔(幕末)柿生村を含め凶作に喘ぐ村が小野路寄場組合を作った所、古くは鎌倉街道上ノ道の中心地でした。このお地蔵様にも古沢に似た和讃があります。「帰命頂礼小野路にて、向坂なる地蔵尊、そこに三体おわします、向かって右にいぼ地蔵、願いによりていぼを取る、中は日限り地蔵尊、日限りの願い聞き賜う、向かって左は子育ての、地蔵尊とぞ申すなり ・・・(以下略)」(萩生田長吉念仏集)。この三体地蔵を訪ねてみると、新道ができ大山道かとも思われる、木々に覆われた向坂の道の端に、小さなお堂に納められたお地蔵様がありました。聞くと、明治の初め、柿の木から落ちて亡くなった子の両親が、日限り地蔵(天保年間1832〜38)に願いをかけて、地蔵を造立したのが子育て地蔵の始まりと言い、堂内中央に3地蔵、その下に願いがかなったのか、小さな子育て地蔵が左右に2体、計4体奉納され寒椿の花が供えられていました。

文:小島 一也(遺稿)
 

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