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柿生文化を読む 第157回 シリーズ「麻生の歴史を探る」禅寺丸柿誕生 後編 文:小島一也(遺稿)

掲載号:2019年9月13日号

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岡上梶司朗氏宅の禅寺丸柿(国登録記念物)
岡上梶司朗氏宅の禅寺丸柿(国登録記念物)

【前編から】

 それには樹淡(キザハシ)木練(コネリ)の名称が現れておりますが、キザハシ・コネリとは甘柿のことを言い、その名の起こりは地方の品種の一つで、鎌倉時代柿の栽培が始まったことがわかり、室町時代(1336〜1573)になると、各地に名産品が現れていきます。

 この禅寺丸柿について、昭和23年発刊された、斯界の権威、京都大学菊池博士の「果樹園芸学」には、「神奈川県都筑郡には甘柿禅寺丸の老木が多い。その来歴は、順徳天皇の建保2年(1214)、今の星宿山王禅寺の再建に際し、材木伐採の時に偶然山中より発見し 〜略〜 今でも2〜300年の老木が至る所に見られる」と記されており、奈良の御所柿、京都の豊岡柿、岐阜の蜂屋柿、広島の西城柿など2〜300年以上の栽培沿革を持つ柿の品種を紹介して、「西の豊岡、東の禅寺丸」と、その古木の栽培法、歴史の古さを紹介しています。

 豊岡柿とは、現京都府木津川市の「当尾の豊岡」と称する柿(京都府文化財指定)で、伝承では安元年間(1175〜77)柿渋を採ったといい、現在でも500年以上の老木が残されているそうです。

 名産禅寺丸柿の誕生は、応安3年(1370)王禅寺中興の祖等海上人の村民への甘柿栽培の奨励が始まりですが、その150余年前、建保2年(1214)、武蔵国都筑郡の山奥に甘柿が自生していたことは、前記、柿の沿革から言っても不思議はなく、その頃、承久3年(1221)、隣村の保木では薬師堂が建立され(県重文)、村人は相応の食文化を持っていたと思われ、九十九谷の野生の甘柿は、その頃から村人が食するものではなかったでしょうか。

 後に江戸時代、禅寺丸柿は名実ともに日本最古の甘柿と称され、江戸の町で人気を呼びますが、これについては稿を改めたいと思います。
 

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