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掲載号:2019年11月8日号

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大口真神護符
大口真神護符

【前編から続く】

 上麻生の仲村、亀井には今でも在家(27家)による御嶽講が続けられています。昭和の中頃までは、講員全家が御嶽参詣(お山まいり)をし、太太(だいだい)と呼ぶ小神楽(かぐら)を神社に奉納、境内に集まる人々に、持参した米を振る舞って(餅投げ)感謝を表し、御師の坊(麻知屋まちや服部家)での憩いの一泊をしたものでしたが、今は講元と呼ぶ代表者があり、毎年、代参人3名がお供米(今はお金で随意)を集めて御嶽に奉納、御師の坊で神事を行い「代参祈祷神璽」を頂き、「大口真神」のお札を預かり一泊して帰ります(日帰りもあり)。

 御嶽講とは、五穀豊穣、家内安全を願う信仰で、「大口真神」(おおぐちまがみ)の、大きな口の狼(黒)に似た姿のお札で知られ、この犬が作物を荒らす猪や獣を退治してくれることから名付けられました。この御嶽信仰の極め付きは、「太占」(ふとまに)と呼ぶ、農作物の作付の占いで、毎年1月3日、鹿の肩甲骨を焼き、ひびの割れ具合から、25の作物のその年の作柄を10段階で示すというもので、稲作5、大豆2、ジャガイモ9など、数字が高い程豊作とされ御嶽山御師による神事として行われています。

 上麻生講中では、代参が終わると講元が佳日を選んで御嶽講を催し前述の「大口真神護符」をいただき、御神酒で宴を行い、次の代参人を抽選して講を閉じますが、毎年、上麻生講中に下されている大型の「大口真神護符」は、月読神社境内の熊野社の古祠に納められ、地内安全に感謝して、翌年、代参人が御嶽山にお返しするしきたりになっています。

 なお、お山(御嶽山)の雪が解ける3月、御師の服部師は、今も、前記太占祭の神符(農作物作付けは消えたが)と「大難除神璽」のお札を携え、講元とともに各家を回られており、それは親子3代にわたっています。

 この原稿を書いた折も折(平成23年)「オオカミの護符」小倉美恵子著(新潮社)が世間の話題を呼びました。著者小倉さんは、宮前区土橋の生まれで幼い頃、毎年お祖父さんが蔵の扉に貼っていた「大口真神」のお札に思いを起こし、「今、私たちは、何か大切なものを置き忘れているのでは…」と問うもので映画化もされますが、聞くと、市内の御嶽講は、上麻生だけではなく、宿河原、平、土橋、馬絹などにも残り、講はなくとも御師との繋がりは各地の在家にあるそうです。
 

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