川崎区・幸区 社会
公開日:2022.02.25
【Web限定記事】多摩川河川敷中1生殺害事件から7年
地元団体が街と子ども達について考える会を実施
川崎区の多摩川河川敷で中学1年生の男子生徒が殺害された事件から7年。事件を風化させないようにと、2月18日、川崎区の東田公園内「コミュニティーハウスさくら」で、市内の女性同士のつながりの場作りを行う「カワジョ会」の呼びかけで、「私たちの街・川崎の子ども達について考える」勉強会が行われた。20歳から80代まで、オンライン参加の1人も含め、11人が参加した。勉強会の前には事件現場を訪れ、黙とうをささげた。
参加者は「居場所」をテーマにグループディスカッションを実施。「スケートボードの出来る場所」について、「その場に子ども食堂が出張したり、スケートボードの映像を撮る大人、関連のファッションを扱う人、スケートボードのコースを整備する工事業者などが集まることで、子どもに色々な大人の背中を見せることができる。居場所作りには様々な団体が一緒に取り組むことが大事」などの意見発表がされた。「居場所」というのは、単に場所の事だけではなく、「心の拠り所となる信頼できる大人」のことでもあるという意見もあった。
宮越さんが講演
ディスカッションの前には、川崎地区地域教育会議の議長、宮越隆夫さんによる基調講演が行われた。中学生が地域の人とつながりを持つことで成長していく様を、事務局長を務める臨港中学校区地域教育会議での経験として語った。
かつて校内暴力で荒れていた臨港中学校。1992年(平成4年)には生徒が警察に逮捕される事件が起きた。宮越さんによれば、学校、PTAなどが必死に改善を図り、徐々に落ち着きを取り戻していくなか、97年に地域教育会議が発足し、中学生と地域を結び付ける企画を考え、神輿担ぎ、夏休み中の職業体験学習、盆踊りでのソーラン節などを実施した。99年から実施した職業体験学習は全校生徒の約30%、90人が参加し、よく働くと評判だった。継続していく中で参加者も徐々に増え、今では全校生の60%が参加するまでになった(昨年、一昨年は新型コロナの影響で中止)。こうした取り組みで、生徒達の「居場所」ができたと話す。2002年度卒業式の別れの言葉で、生徒から「地域は私たちにとってひとつの大きな家です」という一説が出たほど効果があったという。
19年から始めた富士見公園で遊び場を作る「パークチャレンジかわさき」の取り組みも紹介。大型迷路、ターザンロープ、ボルダリングなどの設置を子供たちと行った。20年はコロナ禍で巣ごもりが強いられるなか、久しぶりの外遊びに子どもたちの顔が明るくなっていく様子を見て、遊びの持つ力を実感したという。宮越さんは「子どもたちのやりたい気持ちを受け止めることが大事。」と強調した。
最後に「たくさんのプラン、地域での仕組みが子どもたちの生きる力を育む。中学生の地域体験活動、子ども会議、パークチャレンジ、寺子屋、子ども食堂、地域カフェなど、地域の愛情を形にして子供たちにエールを送り続けたい。子どもたちとともに生きやすい町を作っていきたい」と締めくくった。
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