市内在住の西迫洋美さんと高城正勝さんが10月15日、緑区三井にある「峯の薬師」の観光用トイレの改修のため、同トイレを管理する相模原市に寄付した。眺望が良く、ハイキングコースとして地元住民や観光客が訪れる同寺院。2人は「トイレをきれいにすることで観光客を呼び戻し、峯の薬師の認知度向上や観光活用に役立ててほしい」と話している。
峯の薬師(大覺山東慶寺)は「武相四大薬師」のひとつに数えられており、富田常雄著の長編小説「姿三四郎」の決闘の舞台にもなっていることから地元では有名な寺院。また眺望が良く、「関東ふれあいの道」のコース上にあることから、近年はハイキングを楽しむ地元住民や観光客の姿が見られる。
寺院にある観光用トイレは、男性用小便器以外すべて和式の汲み取り式。住職の大石創元さんによると、建てられてから20年以上は経過しており、衛生面や使い方の不慣れさから、使用を敬遠されることも多かった。
西迫さんと高城さんは共に津久井ロータリークラブ(現津久井中央ロータリークラブ)に所属し、この10年ほど同寺院に桜の植樹を行っていた。その際、西迫さんが「女性だとより利用しにくいのでは」と感じたことや、遠足で訪れた幼稚園児たちが利用したがらないという情報を耳にし、4年ほど前にトイレの水洗化工事を市に提案。屋根などの工事費用は改修に賛同した高城さんが受け持つことになり、それぞれ500万円、160万円を市に寄付する運びとなった。
工事は10月末から始まり、来年3月上旬には完成する見込み。西迫さんは、「トイレをきれいにすることで、観光客の呼び戻しにつながる。若い人の中には峯の薬師を知らない人も多い。竣工時は桜の咲く季節でもあるので、ぜひ一度訪れてほしい」と話した。高城さんは複数の地権者の理解を得るため、何度も地権者の元へ足を運んでおり、「地元住民も喜んでくれるのでは。これを機に、大勢の人に峯の薬師からの眺望を楽しんでもらいたい」と観光資源としての活用促進に期待を寄せた。
今回のように使用用途に条件がある寄付は「負担付き寄附」と呼ばれ、市観光・シティプロモーション課によると、「本市では初めての申し出」となる。
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