相模原の司法を考える【13】 連載 準抗告と相模原市民の被る不利益 寄稿 池田達彦弁護士
このシリーズコラムでは、相模原の司法の現状と課題について、市にゆかりのある弁護士が解説する。池田達彦氏が担当。
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「突然逮捕された」「家族や勤め先にはなんて言おう」「今後の予定や取引先への対応はどうすれば良いんだろう」「いつ出られるんだろう」
窃盗や傷害事件ばかりでなく、不慮の事故で相手の方にケガを負わせてしまったような場合にも、警察に逮捕されることはあります。万が一に逮捕された場合、通常は48時間以内に検察官の下に送られ、検察官の請求に応じて裁判所が勾留を許可すれば、更に原則10日間身体が拘束されることになります。
逮捕自体に不服を申し立てる制度は現在ないため、身体拘束に対する不服申立てには、勾留開始後に準抗告や勾留取消請求といった方法を使うことになります。
では、準抗告を申し立てた場合の実際の流れはどうなるでしょうか。相模原市および座間市を管轄する横浜地方裁判所相模原支部(以下、相模原支部)で準抗告を申し立てた場合、その申立事件は関内にある横浜地方裁判所本庁(以下、本庁)に送られます。なぜなら、準抗告に対する決定(判断)は3人の裁判官で構成する合議体で行う必要がありますが、相模原支部では合議制の取り扱いがないからです。
準抗告の申立事件が本庁に送られることで、大きなタイムロスが生じます。まず、相模原支部の職員が申立事件の記録を本庁まで1時間以上かけて運ぶことになります。横浜地方裁判所本庁では、受け付けた順番に従って準抗告などの申立事件を処理しますので、相模原支部の事件ではこの移動時間分のタイムロスが最低限生じます。また、本庁は相模原支部よりも扱う事件数が多いため、受付順が遅くなることを原因とするタイムロスも生じうるのです。
私の経験では、昼頃に相模原支部で準抗告を申し立てた場合でも、これに対する決定が出るのは概ね午後7時以降ですし、遅いときには11時過ぎになることもあります。また、金曜日に準抗告を申し立てたところ、担当検察官の意見がなかなか出ないなどの理由で、土日をはさんだ週明け月曜日に決定が出たこともあります。
身体拘束を受けた当人からすれば、すでに逮捕から相当時間身体拘束をされた中で、さらに準抗告の申し立てに対する決定が出るまでに時間を要すれば、精神的疲労は溜まるばかりですし、私生活に及ぼす影響は決して軽くはありません。
相模原支部で合議制が実現されれば、ご紹介したようなタイムロスに伴う問題が改善されます。そのため私たちは今後も相模原の「司法」の改善を強く求めていきます。
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