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さがみはら中央区 コラム

公開日:2022.08.25

相模原の司法を考える【15】 連載
相模原の裁判所
寄稿 眞木康州弁護士

 このシリーズコラムでは、相模原の司法の現状と課題について、市にゆかりのある弁護士が解説する。眞木康州氏が担当。



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 これまで相模原の裁判所に合議制がないことのさまざまな不都合について、各弁護士が連載していますが、改めて原点に戻って、私の方からお話しさせていただきます。



 皆さまにとっての法廷のイメージはどのようなものでしょうか。テレビドラマで法廷を映すシーンはよく目にされるところだと思います。テレビドラマの法廷のシーンでは、いつも裁判官は3人います。でも実は、どのような裁判においても裁判官が3人で審理するものではありません。



 比較的簡易な事件については裁判官が1人で審理しています。3人で審理する裁判のことを合議制といい、1人で審理する裁判のことを単独制といいます。



 我が街を管轄する横浜地方裁判所相模原支部においては、合議制の裁判をする体制がとられておりません。したがって、横浜地方裁判所相模原支部で裁判を受けるとなれば、常に単独制の裁判ということになります。



 そうすると、専門的な知識を要する複雑な事件(医療過誤事件や建築紛争事件など)について、相模原市民や座間市民(横浜地方裁判所相模原支部は、この2市を管轄する裁判所です)が裁判を受けようとすればどうなるか。今の体制であれば、横浜スタジアムの近くにある横浜地方裁判所(本庁)までわざわざ出向く必要があるのです。



 相模原市、座間市にお住まいの方であれば多くても片道1時間もあれば相模原支部に行くことができます。他方、本庁まで出向くとなれば、お住まいの場所によっては片道3時間程度要することになってしまいます。



 裁判が1回で終わるのであればまだ仕方ないで済むかもしれませんが、複雑な事件の場合には、20回以上の裁判期日が重ねられることも珍しくありません。片道3時間もかかれば、裁判所への出頭も一苦労ですし、これが20回以上も必要となれば裁判所へ出頭すること自体が大きな負担になってしまいます。



 これでは、憲法でも保障されているはずの「裁判を受ける権利」(憲法32条)がきちんと実現されないことになってしまいます。



 神奈川県内には、本庁のほかに4つの支部(川崎・小田原・横須賀・相模原)があるのですが、合議制の裁判をする体制になっていないのは相模原支部だけです。



 私ども神奈川県弁護士会相模原支部に所属する弁護士たちは、この問題について非常に由々しき問題であると捉え、周囲の方々のお力を借りながら、支部をあげて相模原支部における合議制の実現のために取り組んでいるところです。

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